れぶん型巡視船

れぶん型巡視船：警備救難を重視した450トン型巡視船

はじめに

れぶん型巡視船は、海上保安庁が運用していた450トン型の巡視船です。昭和25年度（1950年）に建造され、あわじ型巡視船をベースに、警備救難任務を重視した設計変更が施されました。本記事では、その設計、建造、運用、そしてフィクション作品への登場について詳細に解説します。

設計

船体

れぶん型は、前型であるあわじ型を基に設計されました。あわじ型は、GHQ/SCAPの指示によりアメリカ沿岸警備隊の船艇を参考に設計されたため、海保の実務には不向きな面がありました。そのため、れぶん型では警備救難を優先。水路標識業務に用いられていたデリックや船倉は廃止され、兵装も容易に行えるよう設計されました。

あわじ型では船体重量超過により復原性能が低下していたため、れぶん型では電気溶接工法の導入や薄板材の使用により重量軽減と重心降下を実現しました。建造にはブロック工法を採用しましたが、当時日本において大規模な溶接構造は珍しく、各造船所は困難な作業に挑みました。結果、上甲板や外板に歪みが生じた船もあったものの、この経験は日本の造船技術の進歩に貢献しました。

朝鮮戦争勃発を受け、防火対策として木製家具や木甲板を廃止。仕切り壁は薄鋼板製、内張りはガラスウールとなり、耐火塗料も使用されました。これらの対策により、船体寸法はあわじ型と同じながら常備排水量は47トン軽量化され、復原性能が向上しました。一方で、居住性や動揺性能は低下し、特に木製家具廃止は乗員から不評でした。配置面では上部構造物の縮小に伴い、士官室や蓄電池室を下甲板に移設。取調室は廃止されました。

機関

機関部はあわじ型とほぼ同様ですが、大量建造のため主機と発電機には3つの型式が使用されました。三菱横浜MAN G6V37/50型機関では主機架構の腐食問題が発生しました。電源は、あわじ型にあった停泊時運転用補助発電機を廃止し、直流225ボルト・出力60キロワットの発電機2基のみとしました。交流電源は強化されました。

装備

レーダー搭載を考慮した設計がされ、「おき」は新造巡視船として初めてレーダーを搭載しました。建造当時、GHQ/SCAPの指示により排水量1500トン以下、最大速力15ノット以下、兵装は小火器のみという制限がありました。そのため、れぶん型は当初非武装でしたが、後に制限が緩和され、3インチ単装緩射砲と20mm単装機銃を搭載しました。また、搭載艇用ダビットや後檣の改装も行われました。

運用

最初に6隻が建造された後、朝鮮戦争勃発を受けさらに8隻が発注されました。その後、改450トン型（ちふり型）に移行し、昭和53年度からは1000トン型（しれとこ型）などに更新され、運用を終了しました。

フィクション作品への登場

映画『フランケンシュタインの怪獣　サンダ対ガイラ』にて、「げんかい」が漁船事故の調査を行うシーンで登場しています。

まとめ

れぶん型巡視船は、GHQ/SCAPの意向、朝鮮戦争、そして日本の造船技術の進歩といった様々な歴史的背景の中で誕生した巡視船でした。その設計思想、建造過程、そして運用を通して、当時の日本の技術力や国際情勢を垣間見ることができる重要な船舶と言えるでしょう。 現在、実船は残存していませんが、その歴史的意義は、海上保安庁の歴史資料として、そして日本の造船技術発展の一端として、後世に語り継がれていくべきでしょう。

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