アイアンフィスト (兵器)

アイアンフィスト：革新的なアクティブ防護システム

アイアンフィストは、イスラエルのイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ（IMI）によって開発された、ハードキル型のアクティブ防護システム（APS）です。このシステムは、モジュール設計を採用しており、軽量な多用途車から重装甲の戦闘車両まで、幅広い種類の車両への搭載が可能です。2006年にそのコンセプトが発表されて以来、様々な脅威に対応する能力を持つことが実証されてきました。

システムの概要

アイアンフィストは、RADAエレクトリック・インダストリーズが開発した固定式レーダーセンサーと、エルビット・システムズの子会社であるエリスラ社が開発した受動型赤外線検知器を組み合わせて、接近する脅威を検知します。脅威が迫ると、システムは炸裂する迎撃体を脅威の前方へ射出します。この迎撃体は、脅威となる飛翔体の極めて近くで爆発し、その衝撃波によって脅威を破壊または軌道をそらし、弾頭の爆発を未然に防ぎます。迎撃体の外装には可燃性素材が用いられており、爆発時に破片を生成しないため、副次的損害を最小限に抑えることができます。

開発と導入の経緯

2009年6月、アイアンフィストの取得が承認され、ナメル装甲兵員輸送車への搭載が予定されました。しかし、2010年11月には、開発予算の一時停止が発表されました。その後、2011年5月にはアメリカでの試験において、運動エネルギー弾やメティス対[[戦車ミサイル]]を迎撃することに成功しました。

2013年初頭には、イスラエル国防省が次世代APSの競合評価を実施し、IMIのアイアンフィストとラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社のトロフィーが比較検討されました。当時、両システムは第一世代の技術水準でしたが、国防省はトロフィーの調達を優先し、アイアンフィストへの資金援助を中止しました。2012年には、両システムを統合し、アイアンフィストの迎撃体とトロフィーのレーダー・C3システムを組み合わせる試みがありましたが、ラファエルが主契約者となったためIMIは協力を拒否しました。

2013年の裁判を経て、第二世代APSの開発が数年以内に完了すると見込まれています。IMIは、アイアンフィストの国際市場への展開も積極的に進めています。

最近の動向

2019年、オランダ陸軍はCV9035NL歩兵戦闘車の近代化改修計画の一環としてアイアンフィストを導入する契約を締結しました。さらに2024年4月には、アメリカがウクライナへ供与するM2ブラッドレー歩兵戦闘車の最新バージョンであるA4E1型にアイアンフィストを搭載することを発表しました。

これらの事例からもわかるように、アイアンフィストは、現代の戦闘環境における車両防護の重要なソリューションとして、その価値が広く認識されつつあります。

まとめ

アイアンフィストは、その高度な技術と実績によって、アクティブ防護システム（APS）の分野で重要な地位を確立しています。そのモジュール設計と多様な脅威への対応能力は、様々なタイプの車両に適用可能であり、将来の戦場における車両の生存性を高める上で重要な役割を果たすと期待されています。

参考資料

Israel Military Industries Ltd: Active Protection System, Iron Fist
Armada, issue 4/2007, August/September: Unrivalled Active Protection System (APS) Against the Widest Range of Threats
* Defense Update 1/2006: Iron Fist Active Protection System (APS)

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