アイスランドの歴史

アイスランドの歴史

アイスランドの歴史は、北大西洋に浮かぶこの島がどのようにして現在の姿になったのかを物語ります。厳しい自然環境と、人々の不屈の精神が織りなす歴史を紐解きましょう。

前史

アイスランドは元々無人島でした。古代ギリシア時代にはその存在が知られていた可能性があり、探検家ピュテアスが「トゥーレ」という島を発見したという記録が残っています。中世には「ウルティマ・トゥーレ（世界の果て）」と呼ばれ、ヨーロッパ人からは忘れ去られた存在でした。

植民と開拓

9世紀後半、ヴァイキングたちがアイスランドに到達し、定住を始めました。インゴールヴル・アルナルソンが最初の越冬者と言われています。『植民の書』によれば、彼以前にアイスランドを発見した人物が「氷の島」と名付けたことが国名の由来とされています。

930年には、全島の調整機関として世界最古の近代議会とも言われるアルシングが創設され、植民時代は終焉を迎えます。初期のアイスランドは、定住地域ごとに自治が行われ、アルシングがその中心的な役割を果たしました。アルシングでは、法律の改正、紛争の解決、裁判などが行われ、商業的な取引も行われました。銀が価値尺度として用いられ、ヴァズマールという羊毛布が主要な支払い手段でした。

985年には、赤毛のエイリークがグリーンランドを発見し、植民を開始しました。992年（実際は1000年頃）には、エイリークの息子レイフ・エリクソンが北米に到達し、僅かながら植民が行われました。

キリスト教化

当初、アイスランドの人々は異教を信仰していましたが、10世紀頃からノルウェーからの政治的な圧力により、キリスト教への改宗が進みました。1000年には、内戦の危機を回避するため、アルシングがトルゲイルを仲裁人に任命し、国全体としてキリスト教に改宗することを決定しました。しかし、異教の信仰も密かに続けられました。

1056年には、最初のアイスランド人司教イスレイブが任命されました。10世紀から13世紀にかけては、大麦や小麦、教会用のワイン、木材などが輸入され、シロハヤブサ、セイウチの牙、ヴァズマールなどが輸出されました。

植民地時代

13世紀には、ノルウェーの介入を招き、1262年にはノルウェーの事実上の植民地となりました。14世紀以降は、干し魚が重要な輸出品となり、ドイツ商人によって大陸へ輸出されました。漁業が主要産業となり、16世紀にはアイスランドの紋章にタラが描かれるようになりました。

外国による支配、ペストの流行、飢饉、1783年のラキ火山噴火などにより、人口が激減し、困窮状態に陥りました。1814年のキール条約により、デンマーク＝ノルウェーが解消されましたが、アイスランドはデンマーク領として残されました。

主権国家体制へ

1904年に自治を達成し、1918年にはデンマークとの同君連合によるアイスランド王国が発足しました。第二次世界大戦中の1940年、ドイツがデンマークを占領すると、アイスランドは外交と沿岸警備の自主化を決定しました。イギリスとアメリカによる占領を経て、1944年6月17日、アイスランド共和国が発足し、デンマークからの分離独立を果たしました。

第二次大戦後

第二次世界大戦後、[アイスランド]]は1949年にNATOに加盟し、冷戦時代にはアメリカ軍が駐留しました。1955年からは、主にイギリスとの間でタラ戦争と呼ばれる漁業権をめぐる争いが勃発しました。1970年には欧州自由貿易連合]に加盟、[1994年には欧州経済領域]に加わるなど、欧州本土との経済活動を緊密化しています。[[2006年には、アメリカ軍が撤退しました。

2008年には、世界金融危機の影響を受け、主要銀行が破綻し、国家経済は危機的状態に陥りました。

アイスランドの歴史は、自然の厳しさ、他国からの支配、そして独立への強い意志によって形作られてきました。この小さな島国は、独自の文化と歴史を誇り、世界にその存在感を示しています。

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