アイモ

アイモ：ニュース映画を支えた小型35mmカメラ

アイモは、アメリカのベル＆ハウエルが1925年に発売した35mmフィルムを使用する映画用カメラです。第二次世界大戦後から1955年前後まで、ニュース映画の撮影現場で世界的に利用されました。

歴史

アイモは、小型で堅牢なカメラとして、ニュース映画や戦場カメラマンに愛用されました。アメリカ国防総省がベトナム戦争中にアイモのマニュアルを発行したことからも、その信頼性が伺えます。

劇映画やドキュメンタリー映画の撮影にも使用され、その携帯性と頑丈さ、小型であるため撮影対象に気づかれにくい点が評価されました。日本では、昭和30年代までニュース映画で広く使用されていましたが、東京オリンピックを機にアリフレックスに取って代わられました。

現在では、爆破シーンやアクションシーンなどのスタント撮影で、「クラッシュカム」として使用されることがあります。これは、建物や高所からカメラを落下させながら撮影する際に利用されます。

構造

アイモは、レフレックス構造を持たないカメラです。撮影時のビューイングは、カメラ上部に組み込まれた光学ファインダーを通して行います。初期のモデルは単焦点レンズのみでしたが、1929年には3つのレンズを搭載したスリーポートアイモが登場しました。焦点ファインダーは、光学ファインダーとは反対側の側面に配置されています。

アイモは、時計仕掛けのモーターを内蔵しており、ラチェットでネジを巻くことでフィルムを回転させます。1回の巻き上げで約20秒分のフィルムを撮影できます。フレームレートは機種によって異なりますが、秒間4コマから64コマまで対応可能です。手回しハンドルを取り付けることで、手動式のカメラとしても使用できます。また、直流バッテリーや家庭用交流電源を使用したり、シンクロモーターを利用して同時録音撮影も可能です。ただし、撮影時の騒音を軽減するためのブリンプは市販されていません。

アイモは、通常100フィート（約30.5メートル）のフィルムを装填でき、秒間24コマで約1分間の撮影が可能です。一部のモデルでは、400フィートまたは1,000フィートのカメラマガジンを装着でき、それぞれ約4分20秒から11分の撮影が可能です。ただし、400フィートマガジンを装着すると操作性が低下し、三脚が必要となる場合があります。1,000フィートマガジンを使用する際には、三脚が必須となります。

現在、アイモの生産は終了していますが、一部のカメラ店では、レフレックスビューイングを可能にする改造や、ビデオタップや電動モーターの搭載、レンズマウントの改良などが行われています。

ベル＆ハウエルは、1923年末に16mmフィルム用カメラ「フィルモ」を発売し、成功を収めました。1930年代には、フィルモはセミプロ用カメラとして位置づけられ、アマチュア映画の世界では、スーパー8mmフィルムが登場する1960年代に「フィルモ127」が誕生しました。

主なモデル

アイモ 71 Automatic Cine Camera (1926年)
アイモ 71 A Automatic Cine Camera (1930年)
アイモ 71 K, M (1938年)
アイモ 71 Q (QM) (1938年) (400フィートマガジン対応、スパイダーターレット搭載)
アイモ Flight Research camera (1944年?)
PH-330 アイモ A-J (1945年) (軍用カメラ)

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