アウトストラーダ A10

アウトストラーダ A10、通称「花々の高速道路」（Autostrada dei Fiori）は、イタリア北西部のリグーリア州を横断する主要な高速道路です。ジェノヴァとヴェンティミーリアを結び、フランスのオートルート A8に接続し、欧州自動車道E80号線の一部を形成しています。全長158.1kmに及ぶこの高速道路は、沿線の美しい景観と重要な交通インフラとしての役割を担っています。

歴史

1967年9月5日にジェノヴァ - サヴォーナ間が開通し、1971年11月6日にはサヴォーナ - ヴェンティミーリア間が開通しました。当初は対面通行でしたが、1960年代に上下線が分離されました。ジェノヴァ - サヴォーナ間では、近年3度にわたる改修工事が行われました。その結果、ヴェンティミーリア方面に向かう北側道路は改装されましたが、ジェノヴァ方面に向かう南側道路は、建設当時の状態が残っており、道路状況は北側と比較して劣っています。また、道路を3車線に拡張する際、緊急車線を撤去し、車線幅を3.75m未満に狭める必要がありました。これはイタリアの高速道路規則よりも狭く、アルビソーラ - ジェノヴァ・ヴォルトリ間では制限速度が80km/hに制限されています。

2018年8月14日には、ジェノヴァ近郊のモランディ橋が暴風により崩壊し、多数の死者を出すという悲劇が発生しました。これは、アウトストラーダA10における安全性の重要性を改めて浮き彫りにする出来事となりました。

現況

現在、アウトストラーダA10は、2つの会社によって運営されています。ジェノヴァ - サヴォーナ間はアウトストラーデ・ペル・イタリア社が、サヴォーナ - ヴェンティミーリア間はアウトストラーダ・デイ・フィオーリ社がそれぞれ管理しています。この路線には22の出入口と8つのサービスエリアがあります。路線の大部分は丘陵地帯に建設されているため、多くの高架橋とトンネルが設けられています。そのため、通行料金はイタリアで最も高い路線の一つです。

サヴォーナを西に進むと、アルベンガ、インペリア、サンレモ、ヴェンティミーリアなどの町を通過し、ヴェンティミーリアから約6kmの地点でフランスとの国境に到達します。1990年代まで、国境にあたるトンネル内には白と黄色の縞模様の標識があり、国境通過を知らせていましたが、現在は撤去されています。しかし、照明システムや路面のアスファルトの厚さの違いなどから、国境を越えたことを認識することができます。

東方面に向かうA10は、トリノに向かうA6、ポー平原やスイス方面に向かうA26と交差し、最終的にはミラノやトスカーナとを結ぶA7と接続しています。このため、アウトストラーダA10は、イタリア北西部における重要な交通網の一部を担っています。

アウトストラーダA10は、その美しい景観とともに、リグーリア州の経済と人々の生活を支える重要なインフラとして、今後もその役割を果たしていくでしょう。

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