アウトストラーダ A27

アウトストラーダ A27 ダレマーニャ（A27）の詳細解説

アウトストラーダ A27、通称A27は、イタリアの主要な高速道路網の一部であり、ヴェネツィア県のメストレ環状線から始まり、北へ向かいポンテ・ネッレ・アルピ（ベッルーノ県）に至る重要なルートです。この道路はアウトストラーデ・イタリア社によって管理されており、有料区間はヴェネツィア北本線料金所からベッルーノ本線料金所までとなっています。

歴史と経路の概要

A27の最初の区間であるメストレ～コネリアーノ間は1972年9月29日に開通しました。その後、同年12月1日にコネリアーノ～ヴィットリオ・ヴェネト間、そして翌年3月16日にはヴィットリオ・ヴェネト～国道51号線までの短い区間が開通しました。この高速道路は、マルカ・トレヴィジアーナの中心部を貫き、モリアーノ・ヴェーネト、トレヴィーゾ、コネリアーノ、ヴィットリオ・ヴェネトといった主要都市をA4と接続します。また、ドロミーティ地域への観光客にとって、国道51号線の便利な代替ルートとなっています。

1995年からは、ヴィットリオ・ヴェネト北からピアン・ディ・ヴェドイア（ポンテ・ネッレ・アルピ）への延伸部分が開通しました。この最後の区間は、パダーノ・ヴェネタの平野部を抜けてプレアルプスに入り、ラピジーナ渓谷をいくつかの高架橋で渡り、セッラ・ディ・ファダルトとサンタ・クローチェ湖地域をトンネルで通過します。メストレ～コネリアーノ間は、3車線と緊急車線で構成されています。また、ヴィットリオ・ヴェネト南出入口とモンテ・バルドトンネル間の短い区間は、急勾配での交通流を確保するために3車線化されています。

ヴィットリオ・ヴェネト北とベッルーノの間では、上下線が大きく離れている箇所があります。北行き車線は、元々国道51号線のバイパスとして建設されたトンネルと橋梁を利用しており、南行き車線は当初からアウトストラーダとして設計されたものです。レ・カーヴェトンネルは、建設中に山の不安定な面を掘り過ぎたため、再設計されました。結果として、本来南行きとなるはずだったトンネルは北行きに使用され、南行きのトンネルは西側に掘削し直されています。放棄された北行きトンネルの南入口は、現在もその痕跡を残しています。

サービスエリアとその他

A27には、3つのサービスエリアがあります。南から順に、シーレ（2020年にピアーヴェから移転）、チェルヴァーダ（北行き車線のみ）、ポンテ・ネッレ・アルピ西（南行き車線のみ、北行き車線には駐車場と歩道橋あり）です。ルートは非常に景観が良く、広い車線は安全で快適な走行を可能にしています。

1991年に開通したメストレ側のヴェネツィア・テッセラ空港への接続路は、2009年2月8日のメストレバイパス開通以降、A57空港分岐路として分類され、A27の一部とはみなされていません。2012年12月には、モリアーノ・ヴェーネトへの新たな出入口が開通し、旧出入口はカザーレ・スル・シーレと改名されました。

ラピジーナ渓谷をわたる高架橋には排水収集施設がないため、水質汚染の恐れのある製品を輸送するタンクローリーは、ヴィットリオ・ヴェネト北出入口とベッルーノ出入口の間は、高速道路から一旦出て国道51号線を通行する必要があります。

オーストリア方面への延伸計画

長年にわたり、A27をカドーレ、マウリア、トルメッツォ方面へ延伸し、アウトストラーダA23と接続する提案が議論されてきました。当初は、この高速道路をミュンヘンまで接続し、オーストリアとドイツの高速道路に接続する計画があり、「アウトストラーダ ダレマーニャ（ドイツへの高速道路）」という名称も提案されました。

2010年以降、ヴェネツィアとミュンヘンを結ぶ高速道路の提案は、ヴェネト地方議会とバイエルン州の双方によって再開されました。しかし、2016年の欧州議会での決議により、北への延伸の可能性は事実上阻止されました。ヴェネト地方議会は、A27のピエーヴェ・ディ・カドーレまでの延伸や、ピアン・ディ・ヴェドイア、ロンガローネ、ピアン・デ・ラバーテ出入口の建設にも前向きな姿勢を示していました。

開通日と区間の詳細

• - 1972年6月29日：メストレ～コネリアーノ間
• - 1972年12月2日：コネリアーノ～ヴィットリオ・ヴェネト間
• - 1994年11月30日：ヴィットリオ・ヴェネト～ラーゴ・ディ・サンタ・クローチェ出入口、カドーラ（ベッルーノ）出入口～ピアン・ディ・ヴェドイア間
• - 1995年6月28日：カドーラ（ベッルーノ）～ラーゴ・ディ・サンタ・クローチェ間

ラーゴ・ディ・サンタ・クローチェ出入口は当初仮設でしたが、地域の経済活動を考慮して存続されることになりました。

トンネル

A27には複数のトンネルが存在します。サン・フロリアーノトンネルは短く直線的なため、2001年まで照明がありませんでした。ファダルト東、ファダルト西、サンタ・クローチェ東、レ・カーヴェ東、レ・カーヴェ西のトンネルは、当初左右2列の照明を備えていましたが、一方向通行であることから、2006年に右側の列が撤去されました。その後、モンテ・バルドトンネルでも同様の変更が行われました。

その他の情報

• - 11月15日から4月15日までの期間は、全線で冬季装備が義務付けられています。
• - A27はアウトストラーデ・イタリア社によって管理されています。

まとめ

アウトストラーダ A27は、イタリア北東部において重要な役割を担う高速道路です。歴史的な背景、複雑なルート、そして延伸計画など、多様な側面から見て、この道路の重要性が理解できるでしょう。ドロミーティへの旅行や周辺都市へのアクセスに、A27は欠かせない存在です。

もう一度検索