アウトストラーダ A4

アウトストラーダA4：イタリア北部の動脈

アウトストラーダA4は、イタリア北部を東西に横断する主要な高速道路であり、「セレニッシマ」とも呼ばれます。パダーナ平原を東西に走り、トリノからミラノ、ヴェネツィアを経由し、システィアーナまでを結んでいます。システィアーナからはRA13に道路番号が変わりますが、トリエステまで続いています。イタリアで3番目に長いアウトストラーダであり、その重要性は非常に高いです。

歴史

A4の歴史は、1920年代に遡ります。最初に完成したのは、1927年に開通したミラノとベルガモ間の区間でした。その後、1932年にはトリノ-ミラノ区間が開通し、イタリアにおける最初期のアウトストラーダの一つとなりました。当時は、トリノ、ミラノ、ブレシア、パドヴァ、ヴェネツィア、トリエステといった主要都市を結ぶ幹線道路として構想されました。しかし、第二次世界大戦後の国境変更により、計画は一時中断されました。

戦後、プロジェクトは再開され、1970年までにヴェネツィア-システィアーナ区間が完成しました。その後、交通量の増加に対応するため、道路幅の拡張や車線増設が行われました。特に、トリノ-ミラノ区間では、1960年代に3車線化が行われましたが、車線幅員が狭く、霧の発生時には非常に危険な状態でした。そのため、1980年代から拡張工事が検討され、高速鉄道の建設に合わせて大規模な改修が行われました。

2000年代には、トリノ-ノヴァーラ区間（2013年）、ノヴァーラ-ミラノ区間（2017年）が完成し、道路の安全性と機能性が大幅に向上しました。また、2009年にはメストレバイパスが開通し、A4のルートが変更されました。これにより、メストレ市街を通る区間はA57に格下げされました。

現在

A4は、イタリアで最も交通量の多い道路の一つであり、欧州全体で見ても交通量の多い道路です。特に、ミラノ-ブレシア間では1日平均10万台、ピーク時には14万台もの車両が通行します。そのうち、約4万台は大型車両です。また、ヴェネツィア-トリエステ区間では、2008年にトラック交通量が16%増加し、2004年から2008年の全体交通量は105%増加しました。

A4は、イベリア半島とバルカン諸国を結ぶ欧州コリドーの一部を形成しており、イタリアの道路網において最も重要な部分の一つとみなされています。その総延長は約530kmで、複数の会社によって管理されています。トリノ-ミラノ間はトリノ-アレッサンドリア-ピアチェンツァ高速道路会社、ミラノ-ブレシア間はイタリア高速道路会社、ブレシア-パドヴァ間はブレシア-ヴェローナ-ヴィチェンツァ-パドヴァ高速道路会社、パドヴァ-ヴェネツィア間はヴェネチア高速道路公社、ヴェネツィア-トリエステ間はアウトヴィエ・ヴェネテが管理しています。

A4は、他の主要なアウトストラーダ（A1、A14）とは異なり、ミラノ市街地により二つの部分に分割されており、それぞれ無料区間があります。セッティモ・トリネーゼとサン・ドナ・ディ・ピアーヴェの区間は、3車線と緊急車線で構成されていますが、パルマノーヴァ-システィアーナ区間はまだ2車線であり、現在3車線化が進められています。

各区間について

トリノ-ミラノ:
全長125kmで、SATAPにより運営されています。
トリノ-アッバディーア・ディ・ステュラ方面出口までは片側2車線と緊急車線、その後は3車線と緊急車線、さらにミラノ料金所までは4車線と緊急車線となっています。
トリノ市街地と接続する箇所が始点です。
トリノ-アッバディーア・ディ・ステュラからロンディッソーネまでは無料区間です。
A5、A26とのジャンクションがあります。
2002年から大規模な改修工事が行われ、2022年に完了しました。
ミラノ-ブレシア:
イタリア高速道路会社が管理しています。
A8とのジャンクションが始点です。
コルマーノ、チニゼッロ・バルサモ、セスト・サン・ジョバンニ、ブルゲリオの市街地を通ります。
ミラノ北部環状線や東部環状線、東部外環状線との接続があります。
ミラノ・ギソルファ料金所とミラノ東料金所を含む区間は無料です。
ベルガモ料金所付近が三角形になっているのが特徴です。
平均車速計測システム（Tutor）が稼働しています。
2014年にA35が開通し、2017年に接続されました。
ブレシア-ヴェローナ-ヴィチェンツァ-パドヴァ:
ブレシア-ヴェローナ-ヴィチェンツァ-パドヴァ高速道路会社が管理しています。
A21とのジャンクションがあります。
ロンバルディア州とヴェネト州を通過します。
ガルーダ湖のアンフィテアトロ・モレニコを通過する区間に起伏があります。
A22と交差します。
コッリ・ベリーチにトンネルがあります。
A31とのジャンクションがあります。
パドヴァではA13と接続します。
パドヴァ-ヴェネツィア:
ヴェネチア高速道路公社が管理しています。
メストレバイパス:
2009年に開通した32.3kmの区間です。
A57メストレ環状線を迂回するルートです。
ヴェネチア高速道路公社が管理しています。
A27とのジャンクションがあります。
バイパス開通に伴い、料金所が移動しました。
ヴェネツィア-トリエステ:
アウトヴィエ・ヴェネテが管理しています。
ほとんどが2車線と緊急車線です。
ヴェネト州とフリウリ＝[[ヴェネツィア・ジュリア州]]を通過します。
A28との始点に接続します。
大型車の交通量が非常に多い区間です。
3車線化拡幅計画が進行中です。
A23と分岐します。
A34とのジャンクションがあります。
トリエステ・リゼルト料金所で終了します。
平均車速を制御するシステム（Safety Tutor）が設置されています。

欧州自動車道路

A4は、いくつかの区間が欧州自動車道路の一部となっています。

トリノ-ブレシア区間はE64
ブレシア-トリエステ区間はE70
ヴェネツィア東-パルマノーヴァ南西区間はE55

工事と計画

現在、A4ではいくつかの工事と計画が進行中です。

セスト・サン・ジョヴァンニ-ミラノ・ヴィアーレ・チェルトーザ区間: 動的4車線化工事が進行中です。
ヴェネツィア東-ヴィッレッセ区間: 3車線拡幅計画が進行中です。2021年までに完了予定です。
トリエステ・リゼルト料金所: 拡張計画が進められています。
ブレシア-パドヴァ区間: 4車線化計画があります。

その他

キヴァッソ東接続路

1990年代に再構築された5kmの接続路で、A4とキヴァッソ東の街を繋いでいます。

ラティザーナ接続路

2010年に開通した、ラティザーナ出入口とSS14を接続する2.6kmの接続路です。

主な事故

A4では、濃霧による視界不良が原因で数多くの重大事故が発生しています。

1987年：ベルガモとブレシア間で6人が死亡
1989年：グルメッロ・デル・モンテ出口付近で8人が死亡
1993年：サンティアとカリージオ間で9人が死亡、97人が重傷
1996年：モンテベッロ・ヴィチェンティーノとソアーヴェ間で12人が死亡、100人以上が負傷
2003年：チェッサルトとノヴェンタ・ディ・ピアーヴェ間で13人が死亡、98人が負傷
* 2008年:チェッサルトで7人が死亡

これらの事故は、A4の安全対策の重要性を物語っています。

まとめ

アウトストラーダA4は、イタリア北部経済にとって不可欠な動脈であり、その歴史と現在の状況は、イタリアの道路網の進化を反映しています。今後も、安全対策の強化と効率的な道路整備が進められることが期待されます。

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