アウトビアンキ・A112

アウトビアンキ A112

アウトビアンキが1969年に発表したA112は、小型のハッチバックタイプの乗用車です。このモデルは903ccの直列4気筒OHVエンジンを搭載し、前輪駆動の特徴を持っています。さらに、トランスミッションとディファレンシャルを配置することで、効率的に動力を前輪に送ります。

開発と生産

A112はフィアット・127の開発に先行して、仕様を検証する目的で市場に投入されました。その後、フィアット・127が成功を収めたことから、A112も市場での評価を得ることができました。1970年代後半にはアバルト仕様の需要も高まり、後継モデルであるY10が登場する1986年まで生産が続けられました。この期間に生産された台数は、総計で125万4,178台に達しました。

年表の流れ

A112は発売当初、「ノルマーレ」という基本モデルがラインナップされましたが、1971年には新たに「E」グレードとスポーツモデル「アバルト」が加わりました。1973年からはシリーズ2へ、1975年にはシリーズ3に移行し、排出ガス規制による性能の影響を受けながらも進化を続けました。1986年に生産が終了するまで、シリーズは続き、毎年少しずつモデルチェンジを遂げていきました。

アバルト仕様

A112のアバルトモデルは、1971年に登場し、982ccのエンジンをインストール。最高出力は58 PSに及び、速度も150 km/hとファンに支持されました。シリーズが進むにつれて、このパフォーマンスはさらに改善され、特にシリーズ3やシリーズ5では大幅なエンジンの強化が見られました。1982年からは日本にも正規輸入され、手頃な価格で販売されたため、多くのファンを魅了しました。

モータースポーツへの関与

A112は、フィアットの意向により、特にラリーイベントにおいてはその小型車クラスでの活動にはあまり力を入れていませんでした。1975年以降、シリーズ3の登場によって、A112のワンメイクラリーが各国で開催され、特にフランスで人気を博しました。この期間中、エンジンのカスタマイズが行われたモデルも登場し、メーカーが主催するラリーイベントが続々と企画されました。

結論

A112は、アウトビアンキの製品群の中で重要な役割を果たしました。その魅力的なデザインと信頼性、そしてスポーツバージョンの登場によって、多くのファンを獲得。今日でもその名は自動車愛好家の間で語り継がれています。アウトビアンキにとって、A112は市場のテスト車両から始まり、最終的には自社の名声を高めるに至ったモデルでした。

もう一度検索