アエル (貸金業者)
アエル株式会社（英称：A E L Corporation）は、かつて日本国内で消費者金融事業を展開していた外資系の企業です。その歴史は長く、最終的には2024年に登記記録の閉鎖をもって廃業に至りました。
企業の源流は1969年に創業した山一物産株式会社に遡ります。1983年には日立信販株式会社へと商号を変更。この名称変更を機に、同社は全国へと店舗網を拡大し、事業規模を大きくしていきました。しかし、この「日立信販」という商号は、有名な山一證券や日立グループとは一切関係がありませんでした。著名な商号に便乗する行為（著名表示冒用行為、いわゆるフリーライド）として、日立グループの一員であった日立クレジット株式会社から不正競争防止法違反を理由に訴訟を起こされます。訴訟が続く中、同社は「推定無罪」を主張し、最高裁判所の判決が確定するまで「ローンズ日立」という屋号の使用を続行しました。
1999年に入ると、同社の資金繰りは急速に悪化します。これは、当時の主要な取引先であった東京相和銀行、東邦生命保険、なみはや銀行といった金融機関が相次いで経営破綻したことが直接的な原因でした。
日立クレジットとの訴訟において最高裁判決が確定し、敗訴が決定したことに伴い、同社は2001年にアエル株式会社へと社名変更を余儀なくされました。ところが、この新しい社名もまた問題を引き起こします。宮城県仙台市に存在する大型複合施設「AER」（アエル）と名称が競合したのです。施設の運営主体から再び不正競争防止法違反で提訴される事態となりました。社名変更を検討する際、経営上層部では「AER」の存在に気づいていたものの、「AEL」とスペルが異なるため問題ないだろうと判断したとされています。しかし、裁判では敗訴し、その結果、アエルの看板には「旧社名 日立信販」という但し書きを加えることになりました。
資金繰りの逼迫は続き、2003年9月30日、同社はグループ会社の消費者金融ナイス、酒類ディスカウントストアのサリと共に、東京地方裁判所へ会社更生法の適用を申請し、経営破綻しました。その後、2003年10月には、東京スター銀行の親会社でもあった米国の投資ファンド、ローンスターグループが再建スポンサーとして名乗りを上げ、同年11月にはその傘下に入ることとなります。ローンスターグループの主導のもと、2004年7月12日にはグループ会社のナイスを吸収合併。2005年にはアエルとナイスの両ブランドをアエルに一本化しました。同社は「AEL2010」と銘打った5ヵ年計画をスタートさせ、全国に500店舗を展開するという新たな拡大路線を推進。そして2007年8月には会社更生手続を終結させました。かつて使用されていた自動契約機には「ひタッチくん」という愛称があり、社名変更後も利用されていましたが、ローンスターグループの傘下に入った後に廃止されています。
経営再建を進めていたアエルでしたが、外部環境の変化が再び事業継続を困難にさせます。2006年7月27日には、貸金業規制法違反により、関東財務局から約250ヶ所の支店や事務所に対して、3日から26日間の全店業務停止命令を受けました。さらに、2006年12月に成立し、後に施行された改正貸金業法により、融資希望者に対する貸付基準が厳格化されました。これに加え、過去の取引における利息の払い過ぎ（過払金）の返還を求める訴訟が顧客から相次いだことで、資金繰りが再び悪化。事業の維持が極めて困難な状況に追い込まれます。
こうした状況を受け、同社は2008年3月24日に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請。同年8月29日をもって、全国の有人店舗を全て閉鎖しました。その後、2009年4月に民事再生計画の認可決定がなされましたが、その内容は債権者に対し非常に厳しいもので、返済率はわずか5パーセントとされました。また、債権の一部はJ.P.モルガン信託銀行など第三者に譲渡された後、さらに債権回収代行業者の間を転々とすることとなり、権利関係が複雑化し、その状況が外部から見えにくい状態となりました。
この民事再生手続は、特に過払い金返還を求める債権者（過払い金返還債権者）にとって大きな影響を与えました。計画により過払い金返還債権の金額が大幅に減額される可能性が高まったのです。過払い金債権を含む再生債権については、裁判所が定める債権届出期間内に「再生債権届出書」を提出する必要があり、通常、この期限内に届出を行わないと債権は消滅することになります。
民事再生手続が進む中、2011年末時点では事務所を東京・新橋に移転し、主に過払い金の返還受付業務のみを行っている状況でした。2012年秋には、債権者に対する中間配当も実施されています。しかし、最終的に事業を継続することは叶わず、2024年に登記記録の閉鎖等（清算の結了等）をもって、法人としての活動を終えました。
かつて日立信販時代には河合奈保子やモト冬樹がCMに出演しており、特にモト冬樹はアエルに名称変更後も引き続き出演していました。
設立から全国展開、そして商号問題を抱える
企業の源流は1969年に創業した山一物産株式会社に遡ります。1983年には日立信販株式会社へと商号を変更。この名称変更を機に、同社は全国へと店舗網を拡大し、事業規模を大きくしていきました。しかし、この「日立信販」という商号は、有名な山一證券や日立グループとは一切関係がありませんでした。著名な商号に便乗する行為（著名表示冒用行為、いわゆるフリーライド）として、日立グループの一員であった日立クレジット株式会社から不正競争防止法違反を理由に訴訟を起こされます。訴訟が続く中、同社は「推定無罪」を主張し、最高裁判所の判決が確定するまで「ローンズ日立」という屋号の使用を続行しました。
金融機関の破綻と資金繰りの悪化
1999年に入ると、同社の資金繰りは急速に悪化します。これは、当時の主要な取引先であった東京相和銀行、東邦生命保険、なみはや銀行といった金融機関が相次いで経営破綻したことが直接的な原因でした。
アエルへの社名変更と新たな商号問題
日立クレジットとの訴訟において最高裁判決が確定し、敗訴が決定したことに伴い、同社は2001年にアエル株式会社へと社名変更を余儀なくされました。ところが、この新しい社名もまた問題を引き起こします。宮城県仙台市に存在する大型複合施設「AER」（アエル）と名称が競合したのです。施設の運営主体から再び不正競争防止法違反で提訴される事態となりました。社名変更を検討する際、経営上層部では「AER」の存在に気づいていたものの、「AEL」とスペルが異なるため問題ないだろうと判断したとされています。しかし、裁判では敗訴し、その結果、アエルの看板には「旧社名 日立信販」という但し書きを加えることになりました。
会社更生法による再建
資金繰りの逼迫は続き、2003年9月30日、同社はグループ会社の消費者金融ナイス、酒類ディスカウントストアのサリと共に、東京地方裁判所へ会社更生法の適用を申請し、経営破綻しました。その後、2003年10月には、東京スター銀行の親会社でもあった米国の投資ファンド、ローンスターグループが再建スポンサーとして名乗りを上げ、同年11月にはその傘下に入ることとなります。ローンスターグループの主導のもと、2004年7月12日にはグループ会社のナイスを吸収合併。2005年にはアエルとナイスの両ブランドをアエルに一本化しました。同社は「AEL2010」と銘打った5ヵ年計画をスタートさせ、全国に500店舗を展開するという新たな拡大路線を推進。そして2007年8月には会社更生手続を終結させました。かつて使用されていた自動契約機には「ひタッチくん」という愛称があり、社名変更後も利用されていましたが、ローンスターグループの傘下に入った後に廃止されています。
法改正と過払金問題、そして再びの破綻
経営再建を進めていたアエルでしたが、外部環境の変化が再び事業継続を困難にさせます。2006年7月27日には、貸金業規制法違反により、関東財務局から約250ヶ所の支店や事務所に対して、3日から26日間の全店業務停止命令を受けました。さらに、2006年12月に成立し、後に施行された改正貸金業法により、融資希望者に対する貸付基準が厳格化されました。これに加え、過去の取引における利息の払い過ぎ（過払金）の返還を求める訴訟が顧客から相次いだことで、資金繰りが再び悪化。事業の維持が極めて困難な状況に追い込まれます。
民事再生手続とその影響
こうした状況を受け、同社は2008年3月24日に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請。同年8月29日をもって、全国の有人店舗を全て閉鎖しました。その後、2009年4月に民事再生計画の認可決定がなされましたが、その内容は債権者に対し非常に厳しいもので、返済率はわずか5パーセントとされました。また、債権の一部はJ.P.モルガン信託銀行など第三者に譲渡された後、さらに債権回収代行業者の間を転々とすることとなり、権利関係が複雑化し、その状況が外部から見えにくい状態となりました。
この民事再生手続は、特に過払い金返還を求める債権者（過払い金返還債権者）にとって大きな影響を与えました。計画により過払い金返還債権の金額が大幅に減額される可能性が高まったのです。過払い金債権を含む再生債権については、裁判所が定める債権届出期間内に「再生債権届出書」を提出する必要があり、通常、この期限内に届出を行わないと債権は消滅することになります。
その後の動向と廃業
民事再生手続が進む中、2011年末時点では事務所を東京・新橋に移転し、主に過払い金の返還受付業務のみを行っている状況でした。2012年秋には、債権者に対する中間配当も実施されています。しかし、最終的に事業を継続することは叶わず、2024年に登記記録の閉鎖等（清算の結了等）をもって、法人としての活動を終えました。
かつて日立信販時代には河合奈保子やモト冬樹がCMに出演しており、特にモト冬樹はアエルに名称変更後も引き続き出演していました。
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