アオガンピ属

アオガンピ属（学名：Wikstroemia）は、ジンチョウゲ科に分類される植物の属の一つです。この属は、新しいAPG植物分類体系においてはアオイ目に含まれます。

特徴

アオガンピ属の植物は、枝が多数分かれる低木または小高木で、常緑性を持つことが特徴です。葉は通常、対生しますが、まれに互生することもあります。葉は二年生で、全縁であり、革質または膜質の葉質を持ちます。葉の表面は無毛または有毛で、短い葉柄があります。

花序は頂生し、短い穂状花序、総状花序、または頭状花序を形成します。花は4-5数性で、通常は両性ですが、時には雌雄異株のものもあります。花弁はなく、萼筒はやや肉質または膜質で、外側に毛が生えることがあります。萼裂片は卵形で、瓦重ね状に並びます。雄蕊は8本または10本で、2列に並び、花糸は非常に短いです。子房は無柄の倒卵形で、花柱は短いです。果実は球状の液果となり、種子も球形です。

アオガンピ属の植物は、枝や葉の維管束の材内篩部に繊維が多いという特徴があります。また、果実には毒があり、樹皮の汁液に触れるとかぶれるため、注意が必要です。

分布

アオガンピ属は、アジア東南部、オーストラリア、ポリネシア、ハワイ諸島に分布しており、約50種が知られています。日本には、以下の2種が分布しています。

アオガンピ（オキナワガンピ） Wikstroemia retusa A.Gray：琉球諸島や奄美大島に分布し、国外では台湾にも見られます。
ムニンアオガンピ（オガサワラガンピ） Wikstroemia pseudoretusa Koidz.：小笠原諸島の父島列島や母島列島に分布しており、日本の環境省により準絶滅危惧（NT）に指定されています。


同科のガンピ属（Diplomorpha Meissner）やシャクナンガンピ属（Daphnimorpha Nakai）をアオガンピ属に統合する考えもあります。

学名の由来

属名のWikstroemiaは、スウェーデンの植物学者であるヨハン・エマヌエル・ヴィークストレーム（Johan Emanuel Wikström: 1789 - 1856）の名前にちなんで命名されました。

参考文献

佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本II』、1989年、平凡社
茂木透、勝山輝男他『樹に咲く花（離弁花 2）山溪ハンディ図鑑4』、2000年、山と溪谷社
牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
大場秀章編著『植物分類表（初版第3刷訂正入）』、2011年、アボック社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
Wikstroemia Flora of China

もう一度検索