アカアマダイ

アカアマダイ (学名: Branchiostegus japonicus)

アカアマダイは、アマダイ科に属する魚の一種で、西太平洋の砂泥底に生息しています。その美しい体色と上品な味わいから、日本をはじめとする地域で食用魚として珍重されています。

分類

アカアマダイは、1782年にオランダの博物学者マールテン・ホッタインによって Coryphaena japonica として初めて記載されました。タイプ産地は日本の七尾市です。その後、1815年にフランスの博物学者コンスタンティン・サミュエル・ラフィネスクによってアマダイ属 Branchiostegus が設立され、本種はその基準種となりました。

分布

アカアマダイは、西太平洋に広く分布しており、具体的には日本、東シナ海、渤海、黄海などの中国沿岸、ベトナム南部、フィリピン海などで確認されています。アラフラ海での報告例もありますが、詳細な分布状況はまだ明らかになっていません。日本では、千葉県以南の太平洋岸、青森県以南の日本海岸、瀬戸内海などで生息が確認されています。

形態

アカアマダイは、細長い紡錘形の体型をしており、わずかに斜め上を向いた口が特徴的です。体色は全体的にピンクがかった赤色で、一部は金色にも見え、淡黄色の斑点が散らばっています。体側面の中央部背側には、不規則な赤みがかった斑紋があり、粘液層が剥がれると下にある金黄色が見えることがあります。背鰭の前部は暗色をしています。目の下に銀色の横帯がない点が、アマダイ属の他の種との違いです。目の後方には銀白色の大きな三角形の斑点があり、鰓蓋の上縁にも同様の形の小さな白斑が見られることがあります。尾鰭には5-6本の鮮やかな黄色の縞模様があり、中央の縞は尾鰭の上葉と下葉で特に明瞭です。全長は通常35cm程度で、最大体重は1.3kgに達します。雄の方が雌よりも大型になり、最大体長は雌で47cm、雄で53cmです。

生態

アカアマダイは、水深30-265mの砂泥底に生息しています。東シナ海や黄海では、水深80-200mの範囲でよく漁獲されます。産卵期は年に2回あり、7月と10月に行われます。10月には日本海の佐渡海峡で仔魚が出現し始めます。東シナ海では、1歳で体長12cm、2歳で体長17cmに成長し、この頃に雌雄ともに性成熟を迎えます。アカアマダイは、捕食者から身を守るため、また夜間の隠れ場所として、海底に巣穴を掘って利用します。卵は粘液に包まれた塊状で、浮遊して拡散します。

人との関わり

アカアマダイは、日本では重要な商業漁業資源であり、延縄、底引き網、刺し網などの漁法で漁獲されます。1956年以前の漁獲量は500トン程度でしたが、1970年には12,460トンにまで増加しました。しかし、1980年以降は漁獲量が減少し、近年では年間平均約6,000トンとなっています。近年は中国からの輸入量が増加しています。大型で攻撃的な雄は漁獲されやすく、漁獲量減少にも関わらず雄の漁獲量が増加傾向にあり、資源管理の必要性が指摘されています。アカアマダイは養殖も検討されており、新鮮な状態で販売されるほか、缶詰や塩漬けなどの加工品としても流通しています。調理法としては、蒸し魚、塩焼き、干物、揚げ物、味噌漬けなどがあり、様々な料理で楽しめます。特に関西地方では「グジ」と呼ばれ、高級食材として人気があります。

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