アクセラ (企業)

株式会社アクセラ：短命に終わった出版社の興亡

株式会社アクセラは、1996年7月から2000年9月まで存在した日本の出版社です。主にゲーム関連の雑誌や書籍を出版していました。その設立は、当時の大手IT企業であったアスキーの経営を巡る内紛が大きく影響しています。

設立の経緯：アスキー内紛からの誕生

アクセラの設立は、アスキーの経営陣の内紛が背景にあります。バブル崩壊後、アスキーは資金繰りが悪化し、大規模なリストラを断行。一時的に業績は回復したものの、社長の西和彦と古参社員との間に軋轢が生じました。

1996年春、西が子会社への緊急融資を提案した際、常務取締役の小島文隆はこれを西個人の借金返済のためと判断し、稟議書への押印を拒否。辞表を提出する事態となります。その後、スクウェア（現スクウェア・エニックス）創業者の宮本雅史が交渉役として介入しますが、最終的に決裂。小島を含む4人の役員が退任することになりました。

この退任劇は、アスキーにとって大きな痛手でした。小島が率いる第二編集統括本部はアスキーの「稼ぎ頭」であり、その喪失は経営に深刻な影響を与えました。退任した4役員は、アスキー時代の仲間や協力者を得て、1996年7月10日にアクセラを設立。小島が社長に、宮崎、塩崎が副社長に就任し、新たなスタートを切りました。

事業展開：多角的な試みと挫折

アクセラは、設立当初から様々な事業展開を試みました。1996年10月には競馬雑誌『クリゲ』を創刊し、アスキーの『サラブレ』に対抗。オンラインソフト集「PACK」シリーズもアスキーから引き継いで発売するなど、順調な立ち上がりを見せました。

しかし、期待していたダービースタリオン新作の販売権獲得には失敗。ゲームソフトの制作・発売には乗り出し、1997年7月には『雷弩機兵ガイブレイブ』をリリースしましたが、大きな成功には至りませんでした。

1997年3月には、ライトなゲームファンをターゲットにした『週刊TV Gamer』を創刊。グラビアを多用したり、テレビ番組表を掲載したりするなど、新たな試みを行いましたが、売れ行きは伸びず、同年12月には休刊となりました。

1998年春には、デイリースポーツの編集協力を得て競馬新聞『ぐりぐり◎』を創刊。中央競馬全レースの出馬表を掲載するという画期的な試みで話題を集めましたが、誤掲載という致命的なミスを犯し、わずか5号で休刊となりました。

その後も、ゲーム雑誌『ENTa』やネットワークRPG情報誌『月刊PlayOnline』を創刊するなど、様々な展開を試みましたが、いずれも市場に受け入れられず、経営は悪化。2000年10月に事実上の倒産、事業停止に追い込まれました。

アクセラの終焉と関係者のその後

アクセラに関わった主要な人物たちは、その後のキャリアで様々な道を歩みました。アクセラは短期間で倒産し、アスキー社長であった西和彦は、内紛後の社内改革の失敗により社長の座を追われました。アスキーを離れた小島らはアクセラを設立するも、成功を収めることはできませんでした。

アクセラの設立に関わった薗部は、その後ゲーム開発会社パリティビットを設立。一方、アスキーに残った浜村弘一や青柳昌行は、後にアスキーを傘下に収めたKADOKAWAグループで役員となっています。

アクセラの事例は、企業内紛や経営戦略の重要性を示す教訓として、記憶されるべきでしょう。短命に終わったアクセラの歴史は、日本のゲーム業界史における一つのエピソードとして、語り継がれています。

アクセラが刊行した雑誌と製作・販売したゲームは以下の通りです。

出版された雑誌

週刊TV Gamer
ぐりぐり◎
クリゲ
ENTa
PlayOnline
Pretty graphics
サッカルチョ
TEEN'S LABEL

製作・販売されたゲーム

雷弩機兵ガイブレイブ
スタースイープ
マリア 君たちが生まれた理由
みどりのマキバオー 黒い稲妻 白い奇跡
幻獣旅団
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