アクラ型原子力潜水艦

アクラ型原子力潜水艦

アクラ型原子力潜水艦（Akula-class submarine）は、ソビエト連邦とロシア海軍の攻撃型原子力潜水艦に与えられたNATOの呼称です。この艦級は、971型潜水艦としても知られ、計画名は「シチューカB」（カワカマスを意味する）です。初期の艦種は一等大型原子力潜水艦であり、その後、1992年以降は一等潜水巡洋艦と分類されました。

来歴

ソビエト連邦海軍は「戦略核の運用」「米空母戦闘群の阻止」「米SSBN・SSNの阻止」「欧米のシーレーンの破壊」という4つの戦略目標を掲げていました。1970年代、アメリカの潜水艦能力の増強を受けて、特に「米SSBN・SSNの阻止」が重要視されました。これを受けて、1971年から第112設計局で第3世代のSSN開発に着手し、946型（シエラ型）が開発されましたが、コストや建造所の問題から建造数が減少しました。そこで、945型を基に鋼鉄製の971型潜水艦が設計され、1977年に建造が承認されました。

設計

971型は、攻守だけでなく、機雷敷設や偵察、特殊作戦など多様な任務が想定されており、そのためには静粛性が極めて重要とされました。艦体は従来の複殻式が採用され、671RTM型（ヴィクターIII型）に似た形状で設計されています。セイル内には乗員脱出用のレスキュー・チェンバーが設けられ、また船体は高張力鋼にて構成され、公試潜航深度は600メートル、圧壊深度は900メートルと推定されています。

静粛性を確保するため、艦内では水中吸音材が使用され、振動を低減する防振装置が導入されています。これにより、艦は極めて静粛な運用ができ、アメリカ海軍のロサンゼルス級潜水艦と同等か、ややコストが低い程度の水中放射雑音レベルを維持しています。

機関

アクラ型の主機はシエラ型と類似しており、加圧水型原子炉OK-650Bとタービンを搭載、1軸を駆動します。出力は50,000馬力に達し、静粛性が高くなりました。補助機関としては、ディーゼル発電機が2基搭載され、電力供給が確保されています。

装備

アクラ型には最新のMGK-540「スカット3」統合ソナー・システムが装備され、探知能力も向上しました。潜水艦には533mmおよび650mmの魚雷発射管が装備され、多様な兵装の搭載が可能です。対艦ミサイルや魚雷の種類も改善されており、インスタント対応が可能な設計となっています。また、防空のための携帯式防空ミサイルシステムも搭載されています。

同型艦の登場作品

アクラ型潜水艦は、映画や小説など多くのメディアに登場しています。「GODZILLA ゴジラ」では、ロシア海軍の艦が登場し、特に注目を集めました。また「クリムゾン・タイド」や「ハンターキラー 潜航せよ」などでも、この潜水艦が描かれています。

アクラ型原子力潜水艦は、冷戦時代における海洋戦略において極めて重要な役割を果たしており、その設計と性能は現代の潜水艦にも影響を与えています。

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