アクロポリス・ラリー

アクロポリス・ラリー：ギリシャの伝統と激しさ

アクロポリス・ラリーは、ギリシャを舞台に開催される世界ラリー選手権（WRC）の伝統的なイベントです。1951年の初開催以来、WRCの中核を担い、その過酷さと歴史的な重みから、多くのラリーファンを魅了し続けてきました。

歴史と変遷

1973年のWRC創設と同時にカレンダー入りを果たしたアクロポリス・ラリーは、1974年のオイルショックや2010年のローテーション制導入による一時中断を除き、毎年開催されてきました。しかし、2014年にはWRCカレンダーから外れ、ヨーロッパラリー選手権（ERC）の一戦として開催される期間もありました。その後、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による影響を受け、開催中止を余儀なくされました。そして、2023年、ラリー・チリの代替イベントとして、8年ぶりにWRCカレンダーに復帰を果たしました。パルテノン神殿の近くからスタートするこのラリーは、WRCの歴史に深く刻まれた、伝統と激しさを兼ね備えた大会と言えるでしょう。

ダスティなグラベルと過酷な路面

アクロポリス・ラリー最大の特徴は、その過酷な路面にあります。多くのステージは、ダスティなグラベル（砂利道）で構成されており、路面には大粒の尖った石が散乱しています。そのため、車両の足回りやタイヤへのダメージが非常に大きく、かつてのサファリラリーと並んで「カーブレイクラリー」として知られています。日本では「悪路ポリス」という俗称で呼ばれ、その過酷さが強調されることも少なくありません。「ポリス」という単語がギリシャ語で「都市」を意味する一方、英語で「警察」を意味することから、この過酷なラリーを「警察」になぞらえて表現するユーモラスな表現も存在します。このイベントでは、他のラリーと比べてタイヤの追加使用が認められているほどです。

近年は路面の整備が進み、以前よりはフラットになっていますが、それでもなお、コストを抑えた参戦を目指すマニュファクチャラーにとっては、このラウンドを回避する選択肢が過去には存在していました。

灼熱のステージとスーパーSS

WRC年間カレンダーでは、夏季前後に開催されることが多いアクロポリス・ラリー。例年、灼熱の太陽の下、ドライバーたちは過酷なステージを走破します。エアコンの無いラリーカーの車内温度は50度以上に達し、エンジンの冷却にも支障をきたすほどです。

2005年と2006年には、アテネ・オリンピックスタジアム内に特設コースが設けられ、大観衆の前でスーパーSS（スーパー スペシャルステージ）が開催されました。このイベントは、ラリーの興奮をさらに高め、多くの観客を熱狂の渦に巻き込みました。

1995年のFIA 2リッターワールドカップ

1995年には、アクロポリス・ラリーはFIA 2リッターワールドカップ（W2L）として開催されました。これは、アクロポリス・ラリーの歴史における重要な転換点の一つと言えるでしょう。

まとめ

アクロポリス・ラリーは、その歴史、過酷な路面、そして灼熱の気候など、多くの要素が絡み合い、世界中のラリーファンを魅了する、唯一無二のラリーイベントです。その伝統と激しさは、今後も多くのドライバーたちに挑戦を与え続け、ラリー史に新たな伝説を刻み続けることでしょう。

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