アサルト

『アサルト』

概要

『アサルト』は、1988年4月にナムコからリリースされたアーケード用の多方向スクロールシューティングゲームです。当時の最新システム基板である「SYSTEM II」の第一弾として登場し、その高い性能、特に回転・拡大縮小機能を駆使した独特の表現で注目を集めました。プレイヤーは戦車を操縦し、故郷の惑星を侵略する地球人勢力と戦い、平和を取り戻すことを目指します。北米市場では、アタリ社が販売を担当しました。

本作の稼働と同年の1988年には、難易度を調整し、より遊びやすくなったマイナーチェンジ版『アサルトプラス』も発表されています。

ゲームシステム

このゲームの操作系は非常に個性的で、先端にボタンが付いた2本のレバー（ジョイスティック）を使用します。左右のレバー操作は、実際の戦車の無限軌道（キャタピラ）の動きに対応しており、両方を前方に倒せば前進、両方を手前に倒せば後退、左右逆方向に倒せばその場での超信地旋回を行うことができます。この2本レバーによる操作は、戦車ならではの独特の機動感覚をプレイヤーに提供します。

画面は上空から見下ろすトップビューで展開し、自機は常に画面中央に固定されます。プレイヤーの移動操作に合わせて、背景や敵キャラクターなど、自機以外のオブジェクト全体が回転・移動するという表現方法が取られています。これはSYSTEM II基板の得意とする機能を生かしたもので、これにより直感的で分かりやすい操作感と、ダイナミックな視覚効果を実現しました。

基本移動に加え、特殊なアクションも存在します。2本のレバーを左右同じ方向に倒すと、自機が短距離を素早く真横に移動する「ロールオーバー」を行い、敵弾を回避できます。また、レバーを左右に押し広げることで機首を上げる「ウィリー」状態となり、この最中に攻撃ボタンを押すとグレネード弾を発射可能です。グレネード弾は地形などの障害物を無視して着弾地点を中心に広範囲を攻撃でき、ウィリーの高さで照準を調整することで空中の敵にも対応できますが、ウィリー中は自機が無防備になるというリスクも伴います。

特定の場所には「エレベーター」と呼ばれるリフトゾーンがあり、ここでジャンプ（リフトジャンプ）すると画面全体が縮小表示され、広大なマップのより遠方を確認できるようになります。ジャンプ中は武器がグレネードに固定され、遠距離の敵を効率的に攻撃できますが、使用回数に制限があり、広範囲の敵に自身の存在を知らせてしまう可能性や、着地時の隙が大きいという点に注意が必要です。ゲームのクリアには、マップ上に配置された大型の固定砲台を全て破壊する必要があります。敵戦車などを撃破しながら目標の砲台を目指してステージを進んでいきます。

各ステージには制限時間が設けられており、時間切れになると自機を失ってしまいます。残り時間が少なくなると画面に警告が表示されます。ステージクリア時には、残った時間に応じてボーナス得点が加算されます。初期のバージョンには、時間切れと同時にクリアすると最大ボーナスが入るという不具合が存在しましたが、『アサルトプラス』を含む後のバージョンでは修正されました。

また、敵を破壊した後に残る残骸の上では、自機や敵の機動性が低下するという要素も存在します。これは、同社のシューティングゲーム『グロブダー』(1984年)にも見られた、地形やオブジェクトがゲームプレイに影響を与える特徴の一つです。

『アサルト』は全11ステージ構成ですが、『アサルトプラス』には難易度の異なる「イージーアサルト」（全5ステージ）と「スーパーアサルト」（全10ステージ）の2つのバージョンが収録されています。『アサルトプラス』では、全ステージクリア時に残機に応じたボーナス点も加算されます。

ストーリー

物語の背景として、人口飽和を迎えた地球のアジア諸国は、新たな居住可能な惑星を求めて宇宙への移民計画を実行しました。探査船が発見したのは、既存の物理法則を超越した異様な性質を持つ、しかし地球型環境を備えた惑星でした。

降下部隊による初期の制圧は、人間型の原住民からの抵抗がほとんどなく、容易に完了しました。その後の調査により、原住民が高い文明を築いていた一方で、戦いを経験したことがないために地球人の侵略に抵抗できなかったことが判明します。

原住民による後の反撃を恐れた地球人入植者、特に元軍人が多数を占めていた彼らは、後続の移民団の安全確保を名目に、惑星上に強力な軍事国家を樹立します。浮遊大陸の要所には強固な要塞基地が築かれ、厳重な警戒体制が敷かれます。

プレイヤーは、この惑星の原住民の戦士となり、故郷を奪い軍事支配を敷く地球人との戦いに身を投じることになります。

敵キャラクター

プレイヤーは、地球人が投入する様々な兵器と戦うことになります。敵の主力は戦車型ですが、多種多様なタイプが存在します。

機動力に優れる軽戦車タイプには、標準的な1型や耐久力が増した1型改、汎用性の高い2型、高速で不規則な動きをする3型、水中から出現する4型水中戦車、市街地を移動するスカウトカー、跳躍しながらミサイルを放つ501型などがいます。

耐久力が高く強力な攻撃を持つ重戦車タイプは、後半ステージで多く登場します。追尾ミサイルを搭載した5型司令戦車、大型弾を連射する6型戦車、主力級の7型A・B戦車などがおり、ステージが進むにつれてその耐久力も増していきます。

これら戦車の他にも、ステージクリアの目標である固定砲台、空中を移動する要塞ジェネレータ（グレネードで破壊可能だが必須ではない）、地面に潜んで攻撃するUFO魚雷、特定の方向に弾を放つ小型砲台トーチカなどが敵として出現します。また、攻撃はしてこないものの、破壊するとボーナス点が得られる駐車場の車も存在します。

移植と展開

アーケード版のヒットを受け、『アサルト』および『アサルトプラス』は様々なプラットフォームに移植されました。

1996年にはPlayStation用ソフト『ナムコミュージアム VOL.4』に両バージョンが同時収録され、家庭用ゲーム機でプレイする機会が提供されました。2009年には、Wii向けのバーチャルコンソールアーケードとして配信されています。

近年では、ハムスターが展開するアーケードアーカイブスシリーズの一環として、2022年にPlayStation 4|PlayStation_4版およびNintendo Switch版の『アサルト』が、さらに2025年には『アサルトプラス』が配信されるなど、最新の環境でも遊べるようになっています。アーケードアーカイブス版では、複数のスティック操作に対応させるなど、オリジナルの操作感を再現するための細かい設定が可能になっています。

評価

本作は、その革新的なシステムとゲーム性から、リリース当時高く評価されました。ゲーム専門誌『ゲーメスト』が主催した1988年度の「第2回ゲーメスト大賞」では、読者投票によりベストシューティング賞で8位、ベストエンディング賞で8位に選ばれています。ナムコがSYSTEM II基板で実現した独特の操作感と視覚表現、メカニックデザインを大河原邦男氏が手掛けるなど著名なスタッフが参加した点も、本作の評価を高める要因となりました。

もう一度検索