アスター (ミサイル)
アスターミサイルについて
アスター（ASTER）は、フランスの防衛技術企業MBDAによって開発された対空ミサイルシステムであり、主に現代の海上防空を支える戦力とされています。このシステムには、短距離対応のアスター15と広域防空に適したアスター30の2つのモデルが存在します。両者は、それぞれ異なる役割に特化して設計されており、効率的かつ効果的な防空能力を提供します。
来歴
アスターの開発は、1980年代の早い段階から始まりました。1980年度から1981年度にかけて、フランス政府はヨーロッパ諸国による対空ミサイルの共同開発に関する提案を行いました。その後、フランスのエアロスパシアル社が提案したアスターが選定され、1986年にマトラ社のSAMATに代わって正式に開発がスタートしました。1987年からはフランスのCEL射場にて試射が行われ、1988年にはフランスとイタリアの国防相が共同開発に合意し、1989年にはイギリス海軍もこのミサイルを防空システムとして選定しました。
設計と誘導方式
アスターの設計は、共通の本体である「ダート」を基に、装着されるブースターのサイズを変えることでファミリー化が実現されています。艦に搭載する際は垂直発射システムを用い、機動性と敏捷性を兼ね備えた設計が特徴です。誘導方式については、中間航程では慣性航法と艦上多機能レーダーからのアップリンク指令による誘導を採用し、終末航程ではアクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）誘導を使用しています。また、制御システムには空力制御とサイドスラスターを組み合わせ、目標に対する優れた追従性を保持しています。
アスターのバリエーション
アスターには、以下の二つの主要なバリエーションがあります。
さらに、長射程のアスター45や弾道弾迎撃用のアスター60も研究されましたが、これらは実現には至っていません。ただし、アスター30を進化させたアスター30ブロック1NTは弾道弾迎撃能力を持つシステムとして開発されています。また、アスター30ブロックIIは運動エネルギー弾と二段式ブースターを組み合わせた新しい設計が進められています。
採用国
アスターシステムは、フランスをはじめとする多くの国で採用されています。特に、フランス海軍やイタリア海軍などでは、この高度な防空システムが配備されており、それぞれの国の防衛政策において重要な役割を果たしています。これにより、アスターは欧州の対空防衛能力を高める要素となっているのです。
参考文献
アスターに関する多くの文献が存在し、その中には防衛戦略や技術的な側面について記載されたものも豊富です。例えばノーマン・フリードマンの『The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998』や、井上孝司による『世界の艦船』への寄稿などがあり、これらはアスターに関する貴重な情報源です。
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