アセノスフェア

アセノスフェア（岩流圏）とは

アセノスフェア（asthenosphere）は、地球の内部構造を構成する層の一つで、日本語では岩流圏とも呼ばれます。この層は、地球のマントルを力学的な性質で分類した際に、リソスフェア（岩石圏、プレート）とメソスフェア（中間圏）の間に位置するものと定義されています。

位置と特徴

アセノスフェアは、主に上部マントルに存在し、深度約100kmから300kmの範囲に広がっています。しかし、場合によっては、下限を深度660kmの面までとする考え方もあります。

この層の最大の特徴は、地震波の速度が著しく低下する「低速度層」であるということです。この低速度は、アセノスフェアを構成する物質が部分的に溶融しているために生じると考えられています。この部分溶融により、アセノスフェアは固体でありながら流動性を持つ、特異な状態にあると言えます。

構成と性質

アセノスフェアは、マントルを構成する主要な層の一つであり、その主要な構成物質はかんらん岩です。鉱物相としては、かんらん石（α相）が主成分となっています。
また、アセノスフェアは電気伝導性を示すことが知られており、電流異方性という性質も持っています。

プレート運動との関係

アセノスフェアは、地球のダイナミックな活動、特にプレート運動に重要な役割を果たしています。発散型プレート境界では、アセノスフェアが地表近くまで上昇していることが確認されています。この上昇は、マントルからの熱が上昇してくることと関連しており、プレートテクトニクスの原動力の一つと考えられています。

まとめ

アセノスフェアは、地球内部の深部に位置するにもかかわらず、その流動性と熱的な性質を通じて、地表の変動に大きな影響を与えています。プレートの移動や火山活動など、地球の様々な現象を理解する上で、アセノスフェアの役割は非常に重要です。

参考文献

深尾良夫 『地震・プレート・陸と海 - 地学入門』 岩波書店〈岩波ジュニア新書〉、1985年、ISBN 4-00-500092-4。
川上紳一・東條文治 『最新地球史がよくわかる本』 秀和システム〈図解入門〉、2006年、ISBN 4-7980-1260-2。

関連項目

地球#構造（Wikipediaへのリンク）

外部リンク

アセノスフェア（日本政府 地震調査研究推進本部 用語集）（外部サイトへのリンク）

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