メソスフェア

メソスフェアとは

メソスフェア（mesosphere）は、地球内部の層構造におけるマントルの一部を指す言葉です。具体的には、力学的な性質に基づいた分類において、アセノスフェアと外核の間に位置する層を指します。

位置と範囲

一般的に、メソスフェアは深度約300kmから約2900kmの範囲を指しますが、定義によってはアセノスフェアの下限を深度660kmとする場合もあり、その場合は660km以深がメソスフェアと呼ばれることもあります。いずれの場合も、メソスフェアは地球内部の深部に位置する層であることがわかります。

特徴

メソスフェアは、アセノスフェアと同じ化学組成を持つとされていますが、その物理的性質には大きな違いがあります。メソスフェアは、高温かつ高圧の環境下にあるため、非常に高い剛性を持つ層として振る舞います。これは、メソスフェアの上部に位置するアセノスフェアが示すような、流動的な振る舞いとは対照的です。

研究と関連現象

メソスフェアは、地球内部の温度分布の偏りやマントル物質の運動と密接に関連していると考えられており、スーパープリュームやホットスポット、スタグナントスラブといった現象の研究対象となっています。これらの現象は、地球のダイナミクスを理解する上で非常に重要です。

メソスフェアの研究には、地震波トモグラフィーなどの観測手法が用いられ、地球内部の温度分布や構造に関する知見が得られています。これらの研究成果は、プルームテクトニクスの理論を構築する上で重要な役割を果たしています。

日本語訳と関連用語

リソスフェアは「岩圏」または「岩石圏」、アセノスフェアは「岩流圏」という日本語訳が一般的ですが、メソスフェアに対応する共通の日本語訳は今のところ存在しません。

メソスフェアは、地球内部の複雑な構造とダイナミクスを理解する上で欠かせない要素であり、今後の研究によって更なる知見が得られることが期待されます。

参考文献

熊澤峰夫、丸山茂徳編『プルームテクトニクスと全地球史解読』岩波書店、2002年。ISBN 4-0000-5945-9。

関連項目

マントル
リソスフェア - アセノスフェア - メソスフェア

外部リンク

質問コーナ 沖野郷子（東京大学大気海洋研究所）

もう一度検索