リソスフェア

リソスフェア（岩石圏）とは

リソスフェア（または岩石圏）は、地球の内部構造における重要な層の一つで、地殻とマントル最上部の固い岩盤部分を合わせた領域を指します。この層は、地球の表面を覆うプレートとほぼ一致しており、プレートテクトニクスの理論において中心的な役割を果たします。

リソスフェアとプレートの違い

プレートテクトニクスにおける「プレート」は、力が加わっても変形しない理想的な剛体として定義されます。一方、「リソスフェア」は、地球表面で弾性体として挙動する部分を指します。つまり、リソスフェアは、プレートよりも現実の地球の挙動をより正確に捉えた概念と言えます。

プレートの動きとリソスフェア

地球の表面は、14枚のプレート（リソスフェア）によって覆われており、これらのプレートは互いに相対的な運動をしています。プレートの移動速度は場所によって異なり、年間数ミリメートルから10センチメートル程度です。このプレートの動きが、地震や火山活動といった地殻変動を引き起こす要因となっています。

リソスフェアの下層

リソスフェアの下には、アセノスフェアという、より高温で流動的な層が存在します。このアセノスフェアの存在が、プレートの相対運動を可能にしています。アセノスフェアの下には、メソスフェア（下部マントル）、そして地球の中心には核（コア）があります。かつて、リソスフェアの下層はバリスフェア（重圏）と呼ばれていました。

リソスフェアの厚さ

リソスフェアの厚さは、地球の深さ方向に対する層の区分方法によって異なります。地殻やマントルの区分が地球化学的な性質に基づいているのに対し、リソスフェアは地球物理学的な性質に基づいた区分です。そのため、リソスフェアの厚さは、加えられる力に対する物理的な応答によって定義され、測定方法によって異なる値を示すことがあります。

短い時間スケール（例えば地震）においては、深い部分でも弾性的な応答を示すため、リソスフェアは厚くなります（数百キロメートルに及ぶこともあります）。一方、長い時間スケール（例えば大陸氷河の消長）では、浅部の弾性的な部分のみが長期間の荷重を支えるため、リソスフェアの厚さは数十キロメートル程度になります。一般的にリソスフェアの厚さと言われる場合は後者を指しますが、いずれにしてもその厚さは一定ではありません。また、リソスフェアの厚さは、荷重の空間スケールにも大きく影響されます。

海嶺とリソスフェア

海嶺周辺では温度が高いため、リソスフェアは薄くなっています。海嶺から遠ざかるにつれて、深部の高温部分が冷えて弾性的な性質を獲得し、リソスフェアは時間とともに厚くなっていきます。

まとめ

リソスフェアは、地球の表面を覆う岩盤層であり、プレートテクトニクスの基本的な概念と深く結びついています。その厚さは一定ではなく、時間や測定方法によって変動しますが、地球の構造とダイナミクスを理解する上で不可欠な要素です。

参考文献

深尾良夫 『地震・プレート・陸と海 - 地学入門』 岩波書店〈岩波ジュニア新書〉、1985年。ISBN 4-00-500092-4。
川上紳一・東條文治 『最新地球史がよくわかる本』 秀和システム〈図解入門〉、2006年。ISBN 4-7980-1260-2。
坪井誠太郎 『岩石學I』 岩波全書、1939年。

関連項目

プレート
プレートテクトニクス
リソスフェア - アセノスフェア - メソスフェア
* 地殻：しばしば混同・誤認される。その違いについては地殻#地殻の定義を参照のこと。

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