アゼルバイジャン民主共和国

アゼルバイジャン民主共和国（アゼルバイジャンみんしゅきょうわこく、アゼルバイジャン語: Azərbaycan Xalq Cümhuriyyəti / آذربایجان خلق جمهوریتی）は、1918年から1920年にかけて存在した、アゼルバイジャン初の民主的な共和国です。一般にはアゼルバイジャン人民共和国とも呼ばれています。

成立の背景

ロシア革命の混乱に乗じて、民族主義政党を中心に独立を宣言しました。この時、中核となったのはミュサヴァト党です。しかし、独立直後からイギリス軍の占領下に置かれ、その後の社会主義勢力の台頭と、バクーという石油資源の豊富な戦略的要衝を巡る争いに翻弄されることになります。

国家としての歩み

1918年5月、ミュサヴァト党が中心となり、ギャンジャで独立を宣言。同年9月には首都バクーを制圧しました。この共和国は、イスラム教徒が主体となって樹立されたにもかかわらず、政教分離を掲げ、信教の自由を保障する世俗憲法を制定。多党制による議会政治が試みられました。また、国際社会への参加も試み、1919年のパリ講和会議には代表団を派遣しています。

困難と崩壊

しかし、アゼルバイジャン民主共和国は多くの困難に直面しました。ナゴルノ・カラバフなどをめぐり、アルメニア第一共和国との間で戦争状態に陥りました。国内では多党制が機能せず、政情が不安定化。さらに、バクーが石油資源の豊富な軍事戦略上重要な都市であったため、周辺国からの圧力が強まります。結果として、1920年、赤軍によってバクーは占領され、ソビエト政権が樹立。アゼルバイジャン民主共和国はわずか2年で滅亡しました。

その後

その後、ロシア共産党はアゼルバイジャン、グルジア、アルメニアを統合し、1922年末にザカフカース社会主義連邦[[ソビエト共和国]]を成立させました。

文化

アゼルバイジャン民主共和国は短命に終わりましたが、その試みはアゼルバイジャンにおける民主主義の発展に大きな影響を与えました。特に、イスラム世界における世俗主義的な共和国の確立は、特筆に値します。

この国は、独立を希求する民族の意志と、国際政治の現実の間で揺れ動いた歴史を私たちに教えてくれます。標語である「一度掲げられた旗は決して降りない」という言葉は、その短い歴史の中で、失われることのない民族の誇りを表しています。

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