アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ

アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ（Associated British Foods plc、以下ABF）は、イギリス・ロンドンに本社を置く、世界的な多国籍企業です。食品加工・販売、そして衣料品販売という二つの主要事業を柱に、世界48カ国で幅広いビジネスを展開しています。

ABFの歴史は1935年にさかのぼります。カナダ出身のW. Garfield Weston氏によってFood Investments Limitedとして設立され、その後Allied Bakeries Limitedと改名、当初はパン製造が中心事業でした。20世紀半ばを過ぎてもパン製造は主力でしたが、1960年に現在の社名に変更、その後積極的な事業拡大に乗り出します。1963年にはスーパーマーケットチェーンのFine Fareを買収するなど、成長を続けました。しかし、1986年にはFine Fareを売却。その後、1991年には砂糖・テンサイ製造のBritish Sugarを買収、新たな収益源を確保します。

その後もABFは、買収を通じて事業を拡大し続けました。1997年にはアイルランド地域の店舗をテスコに売却しましたが、2002年にはユニリーバからコーンスターチのArgoやコーンシロップのKaroといったブランドを取得。さらに、2004年にはオーストラリアのBurns PhilpからスパイスブランドのTone's、2007年にはカレーソースなどインド料理ブランドのPatak'sを取得しました。これらの買収を通じて、ABFは食品事業の多角化を推進し、事業基盤を強化しました。

ABFのもう一つの重要な事業が、衣料品です。アイルランド・ダブリンで創業したプライマーク（Primark）は、低価格でファッショナブルな衣料品を販売するブランドとして、イギリスを始め、スペイン、アメリカ合衆国など欧米10カ国以上に店舗を展開しています。プライマークは、当初は食品事業ほど大きな存在ではありませんでしたが、近年では急速に成長し、現在では食品加工と並ぶABFの収益の柱となっています。

ABFは、砂糖やイーストなどの原材料を使用した食品加工、紅茶ブランドであるトワイニング（Twinings）など、20以上のグローサリーブランドを保有しています。これらのブランドは、世界中の消費者に親しまれ、ABFの収益に大きく貢献しています。

ロンドン証券取引所にも上場しているABFは、食品事業と衣料品事業の両輪で安定した成長を続け、世界的な食品・衣料品企業としての地位を確立しています。パン製造からスタートした小さな会社が、数々の買収や戦略的な事業展開を経て、グローバル企業へと成長を遂げたABFの歩みは、現代企業史における一つの成功事例と言えるでしょう。将来も、食品と衣料品の両分野で革新を続け、世界市場で更なる活躍が期待されます。

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