アットゥシ

アットゥシとは

アットゥシ（attus）は、アイヌ民族の伝統的な織物で、主にオヒョウやハルニレ等の樹皮から作られます。これは多くの場合、衣服として利用されることが一般的です。このアットゥシは、さまざまな表記があり、アツシやアトゥシ、アッシ織などとも呼ばれています。経済産業省では「アットゥㇱ」との表記が使われています。

アットゥシの由来

アットゥㇱという名称は、アイヌ語の「オヒョウニレ（att）」と「木の皮（rusi）」に由来しています。アットゥシはアイヌ民族の民族服であり、特に北海道で広く作られてきました。制作の過程では、イラクサ繊維を用いた布や草皮衣が用いられることもありますが、アットゥシは樹皮を使用するという特性を持ちます。アイヌ文化の中でも中心的な役割を果たし、自給自足の生活の中で重要な役割を担っていました。

この衣服は、通常普段着の場合は無地ですが、特別な日や晴れ着として着る際には、和人が持ち込んだ木綿の布が組み合わされ、刺繍やアップリケで装飾されることが一般的です。

歴史的背景

アットゥシの記録は17世紀から見られ、蝦夷地での生産が中心となります。一方、千島列島では導入が遅れており、獣皮衣や江戸幕府から供給された古着が主に用いられていました。18世紀後半には、アットゥシは交易品として本州にも運ばれるようになり、特に耐久性と織目の細かさが評価されました。このため、日本各地で様々な用途に使用されるようになり、特に東北地方や北陸地方で需要が高まりました。

19世紀に入ると、アイヌが和人との儀礼に参加する際、アットゥシや他の繊維が製品として規制されました。これにより、アットゥシはさらに広く用いられることになりました。

様々な特徴

アットゥシの製造に使用される材料は、主にオヒョウやハルニレなどのニレ科、シナノキなどのシナノキ科の樹木から得られます。これらの木の樹皮から靱皮をはぎ取ることで、繊維が取り出されます。その後、樹皮を柔らかくするために沼の水や温泉に漬け込んだり、灰汁を加えて煮る操作が行われます。加工が終わった皮は細かく裂かれ、繊維が作られ、腰機で織られます。

アットゥシの服は、一般的に男女ともに筒袖長衣の形状をしており、衣服の乱れを抑えるためにアットゥシクッという帯が使われます。歴史的には、男女で同じような衣服が見られることが多く、男性が女性用の衣装を着用している事例も記録されています。

現在の状況

現代においても、アットゥシは北海道で工芸品として生産されています。特に2013年には、二風谷におけるアットゥシが経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定され、アイヌ文化の重要な要素として認識されています。アットゥシは、その文化的背景だけではなく、実用性や美しさからも評価され、受け継がれています。

結論

アットゥシはアイヌ民族の重要な文化遺産であり、今もなお地域で受け継がれています。その製造過程や形状、歴史は、アイヌの生活や文化を知る上で貴重な資料となっています。アットゥシに関する理解を深めることで、アイヌ文化が持つ多様性や独自性を感じることができるでしょう。

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