アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦

アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦

アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦（ドイツ語: Schwere Kreuzer der Admiral Hipper Klasse）は、ドイツ海軍の重巡洋艦であり、合計5隻が建造されました。このうち3隻が実際に就役し、リュッツオウは未完成のうちにソ連に売却され、ザイドリッツは航空母艦への改装中に建造が中止されました。

1. 背景と設計

1934年、ヴェルサイユ条約を受けて再軍備を行う中で、ドイツ海軍は他国に対抗するための巡洋艦設計に着手しました。特に、フランス海軍の重巡洋艦「アルジェリー」に対抗するため、強大的な火力と敵戦艦に対する優位性が必要とされました。初期の設計では、基準排水量を維持しつつ、さまざまな口径の主砲を搭載することが検討されましたが、最終的に20.3cm砲8門が選ばれました。最終的な基準排水量は約14,050トンに達し、これにより大型巡洋艦としての地位を確立しました。さらに、対外的には10,000トンと発表されました。

2. 艦形と外観

アドミラル・ヒッパー級はメインデッキが平坦な平甲板型の船体設計を採用しており、これにより加工が単純で船殻重量を軽減できました。艦首の形状は初めは垂直でしたが、悪化する凌波性のため、上甲板が前方に強く傾斜するよう改造されました。この改良により、波の飛沫が艦橋にかかる問題が解消されました。また、艦首甲板には新設計の「SKC/34 20.3cm（60口径）砲」が搭載され、背負い式の主砲塔が2基設けられています。

3. 武装と火力

主砲にはSKC/34 20.3cm砲が用いられ、高い初速で敵艦を攻撃する能力がありました。この主砲による射撃速度は毎分4～5発で、近距離および中距離での戦闘においてドイツ海軍の評価が高いものでした。加えて、高角砲として新設計の10.5cm砲が搭載され、対空能力も重視されました。本級はまた、最大12門の53.3cm水上魚雷発射管を装備し、駆逐艦並みの雷撃能力を備えていました。

4. 実戦での評価

このクラスの艦は他国の同等の重巡洋艦に匹敵する性能を持っていますが、実際には第二次世界大戦におけるドイツ海軍の要求には適していませんでした。対地支援や通商破壊作戦においては期待されたほどの活躍を果たすことはできず、特に通商破壊戦では、その運用能力の欠如が際立ちました。

5. 機関と航続性能

艦のエンジンは、高圧型ボイラーとタービンを使用した設計で、最大速力32ノットを発揮するよう設計されました。しかし、信頼性の面で問題が発生し、実際の航続能力は期待を下回ることが多かったです。長期間の高速運転は難しく、特に第二グループの艦艇では蒸気圧力を下げたタイプのボイラーを使っても問題が続きました。

6. 防御力

防御構造は「ドイッチュラント級装甲艦」を基にしており、傾斜装甲を採用しています。水線部分は80mmの装甲で覆われ、主砲塔は160mmで防御されていました。この防御施工は一定の効果を上げましたが、実戦における弱点もありました。

7. 同型艦

アドミラル・ヒッパー級は3隻の主要艦が就役し、各艦は異なる役割と性能を持っていましたが、いずれもドイツ海軍の重巡洋艦として存在感を示しました。

参考文献

• - 「世界の艦船 1986年1月増刊号 近代巡洋艦史」（海人社）
• - 「世界の艦船 2010年1月増刊号 近代巡洋艦史」（海人社）
• - 「歴史群像シリーズ 世界の重巡洋艦パーフェクトガイド」（学習研究社）

このように、アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦は、ドイツ海軍が目指した威力と性能を具現化した艦艇であり、当時の naval engineering の最前線に立っていました。

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