アナハイム・ダックス

アナハイム・ダックスは、アメリカ合衆国カリフォルニア州アナハイムに本拠を置くナショナルホッケーリーグ（NHL）所属のプロアイスホッケーチームです。かつてはウォルト・ディズニー・カンパニーによって設立され、「マイティダックス・オブ・アナハイム」という名称で知られていました。このチーム名は、ディズニー映画『飛べないアヒル』（原題：The Mighty Ducks）に由来しており、設立当初はエンターテイメント企業による珍しい参入として注目を集めました。

チームの誕生と初期の歩み

チームは1992年にディズニー社によって設立され、1993年からNHLでの活動を開始しました。設立後最初のドラフトでは、将来チームの顔となる日系三世のポール・カリヤを指名。カリヤはキャプテンとして、若いチームを牽引しました。1996年2月には、大型トレードでNHLを代表するスター選手、ティーム・セラニを獲得。カリヤとセラニは「ダイナミック・デュオ」と呼ばれ、強力な攻撃陣を形成し、チームをNHLの上位へと押し上げました。彼らの活躍により、チームは1996-1997シーズンに初のプレーオフ進出を果たし、その後のシーズンもプレーオフ出場や上位進出を狙えるチームへと成長していきました。

初のスタンレー・カップ決勝へ

「ダイナミック・デュオ」解散後、チームは一時的に低迷しますが、2002-2003シーズンには目覚ましい飛躍を遂げます。カルガリー・フレームズからロブ・ニーダーマイヤーを獲得するなど戦力を強化し、レギュラーシーズンを好調で終えました。プレーオフでは、前年度王者のデトロイト・レッドウィングスを4連勝で破る快挙を成し遂げ、その後も勝ち進んでクラブ史上初のスタンレー・カップ決勝に進出しました。決勝ではニュージャージー・デビルスに惜しくも敗れましたが、ゴーリーのジャン＝セバスチャン・ジゲールが準優勝チームから初めてコーン・スマイス賞（プレーオフMVP）を受賞するなど、チームの存在感を強く示しました。

新生ダックスの誕生と栄光

2003年夏には中心選手だったポール・カリヤがチームを離れるという出来事がありましたが、2005年にはニュージャージー・デビルスからスターディフェンスマンであるスコット・ニーダーマイヤーが弟のロブと共にプレーするため加入。さらに、かつてチームを支えたティーム・セラニも復帰しました。同年2月には、チームのオーナーがディズニー社からヘンリー・サミュエリ氏に代わり、チームのアナハイム残留が決定しました。そして、2006-2007シーズンにはチーム名を「アナハイム・ダックス」と改称し、チームカラーやロゴも一新。このシーズン、新生ダックスは圧倒的な強さを見せ、レギュラーシーズンでクラブ新記録を樹立しました。プレーオフでも順調に勝ち進み、スタンレー・カップ決勝でオタワ・セネターズを破り、チーム史上初のスタンレー・カップ優勝を果たしました。スコット・ニーダーマイヤーがこの年のコーン・スマイス賞に輝き、チームの栄光を象徴しました。

転換期と近年の動向

スタンレー・カップ優勝後、チームは主要選手の引退や移籍を経て、世代交代の時期を迎えます。スコット・ニーダーマイヤーやティーム・セラニといったレジェンドがチームを離れる中、ライアン・ゲツラフとコリー・ペリーが新たな中心選手としてチームを牽引。特にコリー・ペリーはリーグ得点王やMVPに輝くなど、その才能を発揮しました。ゲツラフがキャプテンを務める時代には、チームはパシフィック・ディビジョンでの複数年連続優勝など、レギュラーシーズンでは安定した成績を残しましたが、プレーオフでは惜敗が続きました。2019年には長年チームを支えたコリー・ペリーが放出され、ゲツラフ・ペリー時代が終わりを告げます。近年は、新型コロナウイルスの影響によるリーグ運営の変更や、チームの得点力不足に悩まされるシーズンが続き、プレーオフ進出を逃すことが多くなっています。2021-2022シーズンには、長年キャプテンを務めたライアン・ゲツラフが現役を引退し、チームは新たな再建期に入っています。

功績とレジェンドたち

アナハイム・ダックスの歴史においては、多くの選手が顕著な功績を残しています。ティーム・セラニ、ポール・カリヤ、スコット・ニーダーマイヤーの3名は永久欠番としてその功績が称えられています。また、これらの選手を含む複数名がホッケーの殿堂入りを果たしており、チームの歴史に名を刻んでいます。チームは2007年にスタンレー・カップ優勝、2003年に準優勝という実績を残しており、NHLにおける強豪チームとしての地位を確立しています。歴代のキャプテンやヘッドコーチたちも、それぞれの時代でチームを支え、現在のチームの礎を築きました。

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