アニメスターズ

アニメスターズ（オールドリームス）

アニメスターズ、または初期の名称であるオールドリームスは、バンダイナムコゲームス（旧ナムコ）が展開する人気野球ゲームシリーズ、『ファミスタ』の一部タイトルに登場するユニークな架空のチームです。しばしば「Aチーム」と略されます。

チームの成り立ちと名称の変遷

このチームが初めてゲームに姿を現したのは、1988年に発売されたPCエンジン版『プロ野球ワールドスタジアム』でした。当時は「オールドリームス」という名前で登場しています。その後、1989年夏にリリースされたファミリーコンピュータ版『ファミスタ'89 開幕版!!』やMSX2版『プロ野球ファミリースタジアム ペナントレース』にも同じ名称で登場しました。しかし、同年年末に発売された『ファミスタ'90』からは名称が「アニメスターズ」に変更され、続く『ファミスタ'91』（1990年12月発売）までこの名前で収録されています。

ユニフォームデザインの変遷

チームのユニフォームは、登場するプラットフォームやタイトルによってデザインが異なりました。PCエンジン版『ワースタ』やMSX2版では、緑色を基調とし、帽子とアンダーシャツが黒色というデザインでした。一方、『ファミスタ'89』から『ファミスタ'91』までのファミリーコンピュータ版では、全身が黒色で、帽子とアンダーシャツのみが灰色という、よりシャープな印象のデザインになっています。

圧倒的なチーム力

アニメスターズの選手たちは、その名前が野球漫画や野球アニメのキャラクターに由来しているという特徴を持ちます。このことも関係してか、チームの総合力は、同じくナムコの架空チームであるナムコスターズや他のゲーム内オリジナル球団とは比較にならないほど強力に設定されていました。その強さは、かつて『ファミスタ'87』で最強と謳われたメジャーリーガーズをも凌駕するほどです。

特殊な能力を持つ選手たち

アニメスターズには、特に際立った能力を持つ選手が複数存在します。

はやみ: 打率はあまり高くなく、本塁打数も少ない選手ですが、ナムコスターズの俊足選手「ぴの」を大きく上回る驚異的な走力40を誇ります。その速さは、打球が少し深い位置への内野ゴロになった場合でも、セーフになってしまうほどです。
ほし: 投球時にコントローラーの下キーを押しながら投げると、打者の手元で消えるかのように見える「消える魔球」を投げることができます。このボールはストライクゾーンに入れば正規のストライクと判定され、Aチーム以外の選手がこれを打とうとしてもバットに当てることはできません。ただし、この選手がアニメスターズ以外のチームとの対戦で登板した場合、2イニングを投げ終えると自動的に交代させられるという制約があります。
ゆうき: 投球時にコントローラーの上キーを押しながら投げると、「ドリームボール」という特殊な変化球を繰り出します。これは通常のフォークボールとしては考えられないほどの超高速（170km/h以上）で、ほしの「消える魔球」と同様にAチーム以外の打者はバットでとらえることが困難です。ただし、フォークボールであることに変わりはないため、見送ればボールになります。

チーム独自の特殊能力

選手個人の能力に加えて、アニメスターズというチーム自体が持つ独自の特殊能力も存在します。

空振りをしない特性: このチームの打者は、「タイミングさえ合えば」絶対に空振りをしないという特殊なパラメータを持っていました。これは、通常ならバットにかすりもしないようなフォークボールや、コースから大きく外れたボール球、さらには打者の背中側を通過するような投球に対してすら、タイミングさえ合えば最低でもファウルにしてしまうという驚異的な能力です。これにより、容易に三振することがありませんでした。
* 守備時の超速タッチ: 守備中、走者にタッチする際のスピードが異常に速いという特徴もありました。あまりにも速いため、野手が打球を捕球した場所によっては、一塁などへの送球よりも先にランナーにタッチしてアウトにしてしまうケースすら見られました。この仕様により、コンピューター操作の相手は別として、プレイヤー操作のチームがアニメスターズ相手に盗塁を成功させるのは極めて困難でした。

シリーズ最後の登場となった『ファミスタ'91』では、全選手の守備能力と肩の強さが最高のSランクに設定されており、守備でのエラー（落球）を一切しない、鉄壁の守備力を誇りました。

プレイアブル性

アニメスターズをプレイヤーが直接操作できるかどうかは、タイトルによって異なりました。PCエンジン版『ワースタ』では、対戦モードで特定の隠しコマンドを入力することで2プレイヤー側として操作が可能でした。『ファミスタ'90』のリーグ戦モードや、MSX2版では通常のチームとしてプレイヤーが選択可能でした。しかし、これ以外のバージョンでは基本的にCPU専用のチームとして登場しており、通常のトーナメントなどを勝ち進んでいくと、最後に立ちはだかる隠しチームとしてプレイヤーの前に姿を現しました。

ゲームアーツ版のオールドリームス

ナムコからライセンスを受けてゲームアーツが開発・発売したPC-88VA版（1988年、1989年）およびFM TOWNS版（1990年）の『プロ野球ファミリースタジアム』シリーズにも、「オールドリームス」という名前のチームが登場しましたが、これはナムコ版とは内容が異なります。ゲームアーツ版のオールドリームスは、PCエンジン版『ワースタ』に「オールドスターズ」として登場した往年の名選手たちと、オリジナルの選手が混在した構成になっていました。ユニフォームも、オールドスターズが使用していた茶色系統のものを流用しています。また、このゲームアーツ版では、他のチームにアニメスターズ系の選手が「人材流出」している描写もありました。例えば、ホーネッツ（Hチーム）には代打として「かけうら」が、オリエンツ（Oチーム）の投手陣には1988年版のみ「みすはら」が登録されているといった現象が見られました。

このように、アニメスターズ（オールドリームス）は、その突出した能力と個性的な選手たち、そして登場タイトルごとの細かな違いによって、ファミスタシリーズにおいて強い印象を残した特別な存在と言えるでしょう。

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