アフマド・テジャン・カバー

アフマド・テジャン・カバー：激動のシエラレオネを導いた大統領

アフマド・テジャン・カバー（Alhadij Ahmad Tejan Kabbah, 1932年2月16日 - 2014年3月13日）は、シエラレオネの元大統領であり、1996年から1997年、そして1998年から2007年までその任を務めました。

生い立ちと教育

カバーは、シエラレオネ東部州のカイラフン地区で、敬虔なイスラム教徒の家庭に生まれました。自身もイスラム教徒でありながら、フリータウンにあるシエラレオネ最古のカトリック系中等学校、セント・エドワード中等学校で教育を受けました。その後、イギリスで経済学を学び、1959年に公務員としてのキャリアをスタートさせました。

亡命と国連での活動

1968年、カバーが所属していたシエラレオネ人民党 (SLPP) が選挙で敗北すると、彼は公務員の職を解かれ、イギリスへ亡命しました。イギリスでは法律を学び、その後、国連の職員として国際的な舞台で活躍しました。

大統領としての道のり

1996年3月の大統領選挙で当選し、大統領に就任しました。しかし、1997年5月には軍事クーデターが発生し、カバーは在職のままギニアへ亡命を余儀なくされました。1998年3月、ナイジェリア軍を中心とする駐留軍がジョニー・ポール・コロマ少佐の軍事政権を崩壊させ、カバーは大統領として復権を果たしました。2002年5月には再選を果たし、2期目の大統領としての任期をスタートさせました。

2005年9月、2007年8月11日に行われる大統領選挙に向け、後継者としてソロモン・ベレワ副大統領を指名しました。しかし、ベレワ副大統領は9月17日の大統領選挙で最大野党である全人民会議党 (APC) のアーネスト・コロマに敗北し、カバーの後継者として大統領の座に就くことはできませんでした。

死去

2014年3月13日、カバーはフリータウンの自宅で息を引き取りました。82歳でした。

鉄道への情熱

カバーは熱心な鉄道ファンとしても知られていました。彼は何両かの機関車を展示し、シエラレオネに鉄道博物館を建設する計画を持っていました。また、かつてシエラレオネで機関車が鉄道を走っていたことを後世に伝えるため、鉄道の再建にも尽力しました。

家族

妻パトリシア（旧姓タッカー）との間には、マリアナ・カバー、アフマド・テジャン・カバー・ジュニア、アブバカル・カバー、イサタ・カバー、マイケル・カバーの5人の子供がいます。妻のパトリシアは1998年に亡くなりました。

アフマド・テジャン・カバーは、激動の時代にシエラレオネを率い、その復興に尽力した指導者として、記憶されるでしょう。

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