アフリカ豚熱

アフリカ豚熱について

アフリカ豚熱（ASF）は、アフリカ豚熱ウイルスによって引き起こされるブタの重篤な感染症です。このウイルスは、家畜伝染病予防法の下で規定されており、日本国内では特に注意が必要とされています。アフリカ豚熱はブタやイノシシだけに特有の病気であり、ヒトに感染することはありません。

原因

アフリカ豚熱の原因は、二本鎖DNAを持つアフリカ豚熱ウイルスです。このウイルスは、主にブタやイノシシを宿主とし、特にイボイノシシやヤブイノシシは不顕性感染を示すことがあります。ウイルスが感染を引き起こすと、ブタの赤血球が影響を受け、臨床症状が現れます。

疫学

この病気は、1912年にケニアで初めて報告されました。アフリカ大陸では広範囲に常在していますが、イタリアのサルデーニャ島でも見られます。ブタは特に感受性が高く、感染が容易に蔓延します。特に、アフリカではダニを介してウイルスが伝播することが知られています。国際的にも感染が確認されており、最近では中国やロシアでも発生が報告されています。

日本では、アフリカ豚熱の発生報告はないものの、中国からの豚肉製品にウイルスが検出されるなど、警戒が必要です。農林水産省は、豚肉製品に対する水際対策を強化しています。

伝播

アフリカ豚熱は、59の国・地域で確認されており、その多くはアフリカや東ヨーロッパ、ロシアを含む地域です。特に2007年以降、ロシアで感染が広がり、その後ヨーロッパやアジアへもその影響が及んでいます。中国では2018年に初めて発生が確認され、中国国内での豚肉価格が急激に上昇するなどの経済影響が見られました。

症状

アフリカ豚熱は、ジン急性、急性、亜急性、慢性の4つの型に分類されます。ジン急性型や急性型では、高熱や食欲不振、粘血便などの症状を示し、致死率はほぼ100%に達します。慢性型では皮膚や関節に病変が見られます。

診断

アフリカ豚熱の診断には、さまざまな検査法が用いられます。PCR検査によるウイルス遺伝子の検出や、抗体検査などを通じて確認が行われます。しかし、豚熱との類似症状があるため、正確な鑑別診断が必要です。

治療と予防

現時点でアフリカ豚熱の治療法は存在せず、感染した豚の殺処分が一般的な対策です。また、有効なワクチンも開発されていないため、感染拡大を防ぐための予防措置が重要です。

日本はこの病気に関しては清浄国ですが、他国からの侵入を防ぐために、今後も注意深く監視し、適切な対策を行うことが求められます。

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