アブドゥルサラミ・アブバカール

アブドゥルサラミ・アルハジ・アブバカールは、1942年6月13日にナイジェリアのナイジャー州ミンナで生まれました。彼はグワリ人で、イスラム教徒です。ミンナの小学校とビダの中学校を経て、カドゥナ工科大学を卒業後、ナイジェリア軍に入隊。国際連合レバノン暫定駐留軍にも派遣され、最終的にはナイジェリア軍参謀長にまで昇進しました。妻との間には6人の子供がいます。

1983年のクーデターでシェフ・シャガリ政権が倒れ、ムハンマド・ブハリ軍事政権が成立。1993年には民主選挙が行われましたが、イブラヒム・ババンギダ大統領は結果を受け入れず、サニ・アバチャのクーデターにより再び軍事政権となりました。しかし、1998年6月9日にアバチャが急死したことで、アブバカールが元首に選出されました。

アブバカールは大統領就任後、1週間の喪を宣言し、1年以内に民主選挙を実施し、選出された大統領に権限を委譲することを約束しました。そのために、エフライム・アクパタを委員長とする独立国家選挙委員会を設立し、1999年2月27日に大統領選挙、その前段階として1998年12月に各州の知事選挙を行うことを決定しました。これらの選挙は自由かつ公正に行われることを目指しましたが、実際には外国の監視団から大規模な不正行為が報告されました。

選挙の結果、オルシェグン・オバサンジョが新大統領に選出され、アブバカールは約束通り1999年5月29日に大統領の座を譲りました。この迅速な政権委譲は国軍の一部を驚かせました。オバサンジョ政権下で施行された1999年5月5日採択の新憲法は、アブバカールのリーダーシップの下で採択されたものです。

アブバカールは、民主化を期限内に責任を持って遂行したことで、国連や西アフリカ諸国経済共同体などから多くの賞を受賞しました。しかし、重大な人権侵害を行ったアバチャ政権の閣僚であったことから批判も受けています。また、1993年の大統領選挙で勝利したにもかかわらず投獄されていた政治家、モシュード・アビオラの釈放を約束しましたが、彼は釈放直前に急死。この死の責任をアブバカールに求める声もあります。

アブバカールの業績は、ナイジェリアの民主化への移行期における重要な貢献として評価されています。

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