サニ・アバチャ

サニ・アバチャ

サニ・アバチャ将軍 (Sani Abacha, 1943年9月20日 - 1998年6月8日) は、ナイジェリアの軍事指導者であり政治家でした。1993年から1998年まで、ナイジェリア暫定統治評議会議長として事実上の大統領の地位にありました。

生い立ちと軍歴

カヌリ族のムスリムとして生まれたアバチャは、ナイジェリアとイギリスの軍事学校で教育を受けました。ナイジェリア軍に入隊後、1983年に准将に昇進。ムハンマド・ブハリ将軍による1983年のクーデターと、1985年のブハリ解任という二度の「無血クーデター」に関与しました。1985年にイブラヒム・ババンギダ将軍が大統領兼軍最高司令官に就任すると、アバチャは軍参謀長に任命され、1990年には国防相に指名されました。

政権掌握と統治

アバチャは、モシュード・カシマウォ・オラワレ・アビオラの勝利した1993年6月12日の選挙をババンギダが無効にした後、混乱の中で成立したアーネスト・ショネカン首長の暫定政権から権力を奪取しました。アバチャ政権は、人権侵害、特にイブラヒム・アウタ判事による軍事法廷でオゴニの活動家ケン・サロ＝ウィワを絞首刑にしたことで強く非難されました。アビオラとオルシェグン・オバサンジョは反逆罪で投獄され、ウォーレ・ショインカも同様の罪で起訴されました。

アバチャ政権は、民主化を求める活動家からの内外からの強い反対に直面し、政治活動の禁止や報道の統制によって対応しました。軍の主要幹部を解任し、自身に忠実な武装兵約3,000人による警護を敷きました。外交政策においては、リベリアとシエラレオネへの軍派遣を支持し、西アフリカ諸国経済共同体（ECOWAS）を支援しました。

汚職と不正

オバサンジョ政権は、アバチャの死後、その家族の財産をナイジェリア国庫に回収しようとしました。アバチャの金権ぶりは、モブツ・セセ・セコなど、他の悪名高いアフリカの指導者さえ凌ぐと評されることもあります。

アバチャ後の政権による調査によれば、30億から40億米ドルの外貨資産がアバチャとその家族、関連組織に移されました。このうち、21億ドルについてナイジェリア政府はアバチャ家と返還協定を結びましたが、アバチャ家が残りの金を保持することを許容したことが批判を浴びました。2002年になって、アバチャの家族は中央銀行から奪取した12億ドルを返還することに同意しました。トランスパレンシー・インターナショナルは、2004年にアバチャを「汚職指導者」リストの4位にランク付けしました。

死とその後

アバチャは1998年6月8日にアブジャの大統領官邸で心臓麻痺により死亡したと伝えられています。しかし、検死なしに即日埋葬されたため、政敵による毒殺説も囁かれました。当時54歳でした。

アバチャの死後、防衛参謀長のアブドゥルサラミ・アブバカール大将が国家元首の地位を引き継ぎました。アブバカールは速やかに民政移管を宣言し、オルシェグン・オバサンジョが大統領に選出される道を開きました。

アバチャ政権は国民から非常に嫌われており、彼の死は街頭で祝われるほどでした。ある人々は彼の死を「天からのクーデター」と呼びました。

脚注

「ナイジェリアの手紙」詐欺において、サニ・アバチャと妻マリアムの名前がしばしば使用される。
ケン・サロ＝ウィワの処刑当時、アバチャが権力者であった。この処刑により、ナイジェリアは英連邦から資格停止処分を受けた。
アバチャは、2人のインド人売春婦と共に過ごしている際に死亡したと伝えられている。公式な死因は心臓麻痺だが、バイアグラの過剰摂取が原因であるという説も根強く存在する。

外部リンク

Special Report Abacha dies at 54 - BBC News, June 8, 1998.

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