アブドルファッターフ・アッ＝シーシー

アブドルファッターフ・アッ＝シーシー大統領について

アブドルファッターフ・サイード・フセイン・ハリール・アッ＝シーシーは、1954年にエジプトのカイロで生まれた軍人であり、現在のエジプトの大統領として知られています。彼の名前は、日本語メディアではシシやスィースィーなど、様々な表記がされることがあります。シーシーは、エジプト軍の上級職を歴任した後、2014年にエジプト共和国の第6代大統領に就任しました。また、2019年度にはアフリカ連合の議長も務めました。

軍人としてのキャリア

シーシー氏は、エジプト陸軍士官学校を1977年に卒業し、その後は様々な軍職を経験します。特に、2011年にエジプト軍軍事情報庁の長官に就任したことが大きな転機となりました。彼の軍人時代は、教育や海外研修によって形成された専門知識に裏打ちされています。この時期、彼は「軍国主義とイスラム主義のハイブリッド型の統治」についての論文を発表しています。この考え方は、彼の政治的視点にも影響を与えたと考えられます。

権力掌握とクーデター

2011年のアラブの春によるエジプト革命で、長年政権を握っていたムバーラクが追放された後、ムスリム同胞団出身のムハンマド・ムルシーが大統領に選出されました。しかし、ムルシー政権は内外の課題に直面し、これに対する反発が高まる中、シーシーは国防相としての権限を駆使し、2013年にクーデターを起こします。このクーデターによって、ムルシーは政権から排除され、シーシーはその後の暫定政府のリーダーと位置づけられました。

大統領就任と政策

シーシーは、2014年の大統領選挙で圧倒的な支持を受けて当選し、正式にエジプトの大統領となります。彼の政権下では、治安の強化が優先課題とされ、特にムスリム同胞団に対する厳しい弾圧が行われました。また、経済政策にも力を入れ、インフラストラクチャーの整備や投資誘致を促進しています。2015年には新スエズ運河の完成が大きな成果として挙げられます。

経済政策と国際関係

治安の安定が経済成長の鍵であるとの考えから、シーシー政権は積極的な経済政策を推進。海外からの投資を呼び込み、外貨準備高も徐々に回復してきました。また、彼は中国やロシアなどと関係強化を図る一方で、アメリカとの微妙な外交関係も維持しています。これはシーシーが両国の支援を利用し、エジプトの国益を追求するという戦略に基づいています。

教育と文化政策

シーシー政権下では教育分野でも改革が進められ、日本の教育制度からの影響を受けたプログラムがいくつか導入されています。特に日本式の教育手法を取り入れたエジプト日本学校が開校し、国の教育レベル向上が期待されています。

総括

シーシー大統領は、その強力なリーダーシップと明確な経済・外交政策によって、エジプトを新たな方向へ導いていると言えるでしょう。彼の治世は、権力掌握から国の再建まで多岐にわたる実績を残しており、国内外から注目を浴び続けています。

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