アブナー・ダブルデイ

アブナー・ダブルデイ：軍人、発明家、そして伝説

アブナー・ダブルデイ（1819年6月26日 - 1893年1月26日）は、アメリカ陸軍の職業軍人であり、南北戦争では北軍の将軍として活躍しました。彼の生涯は、軍事的な功績に留まらず、発明家、神智学者としての側面、そして野球の起源に関する伝説によって彩られています。

生涯

ニューヨーク州ボールストンスパで生まれたダブルデイは、軍人の家系に育ちました。祖父はアメリカ独立戦争で戦い、父はアメリカ合衆国下院議員を務めました。陸軍士官学校を卒業後、米墨戦争やセミノール戦争に従軍。1861年4月12日、サムター要塞の戦いにおいて、南軍による砲撃に応戦し、北軍最初の砲撃を開始。これにより、彼は「サムターの英雄」として知られるようになりました。

南北戦争では、バージニア州で旅団や師団を指揮し、第二次ブルランの戦いやアンティータムの戦いなどで重要な役割を果たしました。ゲティスバーグの戦いでは、軍団長が戦死したため、急遽軍団を指揮。南軍の猛攻に抵抗し、北軍の防衛線を支えました。しかし、ジョージ・ミード少将との確執により、軍団長の地位を解任され、その後は師団長として戦いました。

戦後はサンフランシスコに駐屯し、ケーブルカーの特許を取得。その後、神智学協会の会員となり、晩年は会長を務めました。1893年、心臓病により死去。バージニア州アーリントン国立墓地に埋葬されました。

軍歴

ダブルデイは、サムター要塞の戦いをはじめ、数々の重要な戦闘に参加しました。第二次ブルランの戦いでは、劣勢な状況下で部隊を指揮し、南軍の進撃を食い止めました。アンティータムの戦いでは、激戦の中で負傷しながらも指揮を執り続けました。ゲティスバーグの戦いでは、軍団長として北軍の防衛に貢献しましたが、ミード少将との確執により、その評価は分かれています。

発明家として

ダブルデイは、サンフランシスコ駐屯中にケーブルカーの特許を取得しました。これは、現在もサンフランシスコの観光名所として親しまれているケーブルカーの基礎となるものでした。

神智学者として

晩年のダブルデイは、神智学協会の会員となり、会長を務めました。神智学は、宗教、哲学、科学を融合させ、人類の普遍的な兄弟愛を追求する思想です。ダブルデイは、神智学を通じて、精神的な探求を深めました。

野球の起源に関する伝説

ダブルデイは、1839年にニューヨーク州クーパーズタウンで野球を発明したという伝説で広く知られています。しかし、スポーツ史家たちは、この説を否定しています。ダブルデイ自身も、野球の発明について言及したことはありません。ミルズ委員会というものが存在し、野球の起源を調査しましたが、その報告書は、ダブルデイが野球を発明したという説を支持するものではありませんでした。

まとめ

アブナー・ダブルデイは、軍人、発明家、神智学者として多彩な才能を発揮し、激動の時代を生きました。特に、南北戦争における彼の功績は、アメリカの歴史に深く刻まれています。また、野球の起源に関する伝説は、彼の名を知らしめるものとなっています。

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