アンティータムの戦い

アンティータムの戦い：南北戦争最大の激戦

アンティータムの戦い（またはシャープスバーグの戦い）は、1862年9月17日にメリーランド州のアンティータム・クリーク近郊で繰り広げられた、南北戦争における重要な戦闘の一つです。この戦いは、北部で行われた南北戦争における最初の主要な会戦であり、一日当たりの死傷者数がアメリカ史上最大となる、血なまぐさい戦いとなりました。

戦闘の背景

1862年8月、第二次ブルランの戦いで勝利したロバート・E・リー将軍率いる南軍は、メリーランド州に侵攻を開始しました。リーの戦略的な狙いは、メリーランド州が南軍を支持する可能性が高いと見込み、物資や兵士の補給を得ること、そして北部の世論を動かすことにありました。また、南部の政治家たちは、北部での軍事的勝利がヨーロッパ諸国による南部連合の承認につながると考えていました。

しかし、リーの目論見は外れました。メリーランド州の住民は南軍に同情的ではなかったのです。さらに、リーが予想していたよりも早く、北軍のジョージ・マクレラン少将が指揮するポトマック軍が動き出し、リー軍の進路を阻止しようとしました。

9月13日、北軍の兵士がリー軍の作戦計画書を発見したことで、マクレランはリー軍が分散していることを知ります。マクレランは、この情報を利用して個々の南軍部隊を撃破する機会を得ましたが、慎重になりすぎたために18時間もの時間を費やしてしまい、結果として南軍を完全に打ち負かすことができませんでした。

戦闘の推移

9月15日、リー軍はシャープスバーグ近くのアンティータム・クリークの背後に陣を敷きました。この陣地は防御には適していましたが、北軍の攻撃を防ぎ切れるほどではありませんでした。マクレラン軍は9月16日に到着し、数的優位に立ちましたが、慎重を期して攻撃を翌日に持ち越しました。この遅れが南軍に防御を固める時間を与えてしまいました。

9月17日の戦闘

9月17日の夜明け、北軍の攻撃が開始されました。戦場は主に3つの区域に分かれていました。

北部戦線：トウモロコシ畑とダンカー教会

ジョセフ・フッカー少将の北軍第1軍団が南軍左翼に猛攻を仕掛けました。ミラーのトウモロコシ畑では激しい戦闘が展開され、その後、ダンカー教会の周辺でも激しい戦いが繰り広げられました。両軍は互いに攻撃と反撃を繰り返し、トウモロコシ畑は血で染まりました。この激戦で、北軍の第1軍団と第12軍団は大きな損害を被りました。

中央戦線：血塗られた通路

北軍は、窪んだ道路を攻撃して南軍の中央突破を試みました。この地域は後に「血塗られた通路」と呼ばれるようになりました。南軍は、この窪んだ道を天然の塹壕として利用し、北軍の攻撃を防ぎました。しかし、北軍は数に勝る戦力で攻撃を続けた結果、ついに南軍の戦線を突破しました。しかし、この時、北軍の指揮官の不手際により、突破口を拡大することができず、南軍は体勢を立て直すことができました。

南部戦線：バーンサイド橋

アンブローズ・バーンサイド少将の第9軍団は、アンティータム・クリークに架かる石橋を攻撃しました。この橋は後に「バーンサイド橋」として知られるようになりました。北軍は何度も橋を強襲しましたが、南軍の激しい抵抗に阻まれ、大きな損害を被りました。最終的に北軍は橋を制圧しましたが、その頃には南軍の援軍が到着し始めていました。

戦闘の終結

午後、南軍のA・P・ヒル師団が到着し、北軍の攻撃を食い止め、戦闘は終結しました。両軍共に疲弊しきっており、決定的な勝敗はつきませんでした。北軍は予備兵力を残していたものの、マクレランはそれを使わず、確実な勝利を優先しました。夜間に両軍は戦線を集約し、南軍は大きな損害を被り、9月18日の小競り合いの後、ポトマック川を渡ってバージニア州へと撤退しました。

戦闘の結果と影響

アンティータムの戦いは、戦術的には引き分けに終わりましたが、戦略的には北軍の勝利とみなされています。この戦いを経て、リー将軍のメリーランド侵攻は終わり、南軍はバージニア州に撤退せざるを得なくなりました。また、この戦いの結果、エイブラハム・リンカーン大統領は奴隷解放宣言を発布する自信を得ました。これは、南北戦争の転換点となり、その後の歴史に大きな影響を与えました。

この戦いの結果は、北軍が数的優位を活かしきれなかったこと、マクレランの慎重すぎる指揮、そして南軍の粘り強い抵抗が重なり合った結果でした。

アンティータムの戦場は現在、アンティータム国定戦場として保存されており、当時の激戦を物語る場所となっています。

戦闘に参加した主な勢力

南軍

ロバート・E・リー将軍率いる北バージニア軍
ジェイムズ・ロングストリート少将の第1軍団
ストーンウォール・ジャクソン少将の第2軍団
J・E・B・スチュアート少将の騎兵軍団
ウィリアム・N・ペンドルトン准将の予備砲兵隊

北軍

ジョージ・マクレラン少将率いるポトマック軍
ジョセフ・フッカー少将の第1軍団
エドウィン・V・サムナー少将の第2軍団
フィッツ・ジョン・ポーター少将の第5軍団
ウィリアム・B・フランクリン少将の第6軍団
アンブローズ・バーンサイド少将の第9軍団
ジョセフ・K・マンスフィールド少将の第12軍団
* アルフレッド・プレソントン准将の騎兵師団


この戦闘には、両軍共に多くの部隊が参加しており、詳細な部隊構成については、元の文書に詳細な情報が記載されています。

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