アブバカル・タファワ・バレワ

アブバカル・タファワ・バレワ：ナイジェリア初の首相

アブバカル・タファワ・バレワ（1912年12月 - 1966年1月15日）は、ナイジェリアの政治家であり、同国初の首相として知られています。彼は教育者としての経歴を持ち、ナイジェリア北部における数少ない高等教育を受けた指導者の一人として、政治の世界で頭角を現しました。また、アフリカ統一機構（OAU）の設立に尽力するなど、国際的な舞台でも活躍しました。

しかし、国内政治においては、北部地域の利益を優先する政策を進めたため、国内の不和を招き、最終的にはクーデターによって命を落とすという悲劇的な結末を迎えました。

生涯と政治 करियर

バレワはナイジェリア北部のバウチで生まれ、コーラン学校で学んだ後、カツィナ大学で教員免許を取得しました。バウチに戻ってからは、バウチ中学校で教師として教鞭を執りました。1944年には、北部出身の教師たちと共にロンドン大学の教育研究所へ留学し、1年間教育について学びました。

帰国後、バレワは政治の世界に足を踏み入れ、1946年には北部ナイジェリア議会の議員に選出され、翌年には立法議会の議員にも選ばれました。彼は議員として、北部地域の利益を強く主張し、ソコト帝国の世継ぎ王子であるアフマド・ベロと共に、北部人民会議(NPC)という政党を結成しました。

1952年、バレワは労働大臣として入閣し、その後交通大臣を歴任しました。1957年には、東部を基盤とするナイジェリア・カメルーン国民会議（NCNC）のンナムディ・アジキウェと連立政権を樹立し、バレワは主席大臣に就任しました。そして、1960年のナイジェリア独立に伴い、バレワは初代首相に就任しました。

アフリカにおける貢献

ナイジェリアの首相として、バレワはアフリカ大陸のルール形成に重要な役割を果たしました。彼はフランス語圏のアフリカ諸国との協力関係を築き、アフリカ統一機構（OAU）の設立に大きく貢献しました。また、1960年から1964年にかけてのコンゴ動乱においては、コンゴ政府とモイーズ・チョンベとの仲介に尽力しました。

彼は1960年のシャープビル虐殺に抗議し、南アフリカ連邦解体後もイギリス連邦に加盟しようとした南アフリカ共和国に対し、加盟反対の姿勢を示し、1961年に南アフリカをイギリス連邦から脱退させました。

国内政策の失敗と悲劇的な結末

しかし、国内政策においては失政が続きました。ナイジェリア連邦は、北部州、西部州、東部州の3つの州から構成されていましたが、それぞれの州の間で絶えず内紛が起こっていました。バレワは北部州の立場を優先する政策を採ったため、他の州との対立を深めてしまいました。

1961年には、西部州を基盤とする行動党（AG）が分裂し、西部州は州首相のサミュエル・アキントラ派とオバフェミ・アウォロウォ派に二分される事態となりました。バレワはアキントラと結び、軍を使ってアウォロウォ派を弾圧しました。さらに、独立以前に実施された人口調査の結果に不満の声が上がったため、バレワは1962年に調査をやり直しましたが、これも失敗に終わり、北部州の優位が続くことで、西部州と東部州の不満は募っていきました。

また、北部州南部と南部2州の境界線近くに位置するミドルベルト地帯では、ティヴ人が反乱を起こしましたが、これも弾圧されました。これにより、ミドルベルト出身者が4割を占める軍とバレワ政権との間に不和が生じ、軍を政治に利用したことが、軍の発言権と不満を増大させる結果となりました。1964年の選挙では、選挙介入や暴力、不正が横行した結果、NPCが勝利しバレワ政権が続投することになりましたが、国内の混乱は収拾のつかない状態となっていました。

1966年1月15日、イボ人の将校たちがクーデターを起こし、バレワは北部州首相のアフマドゥ・ベロや西部首相のサミュエル・アキントラと共に殺害されました。このクーデターは翌日鎮圧され、ジョンソン・アグイイ・イロンシが暫定政権の長となりましたが、彼もすぐに殺害され、ナイジェリアはビアフラ戦争へと突入していくことになりました。

アブバカル・タファワ・バレワは、ナイジェリアの独立と発展に貢献した一方で、国内の対立を解消できず、悲劇的な結末を迎えた人物として、歴史に名を残しています。

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