アプスリー・ハウス

アプスリー・ハウスは、1778年に建てられたロンドンの一等地、ハイド・パーク・コーナーに位置するウェリントン公爵家のタウンハウスです。「ロンドン一番地」の愛称で親しまれ、現在も一部がウェリントン公爵家によって使用されています。この建物は、イギリス貴族のタウンハウスが建築当時のまま現存する貴重な例として知られ、グレードI指定建造物としてイングリッシュ・ヘリテッジにより管理されています。

歴史

アプスリー・ハウスは、もともと王室所有の敷地に建てられました。17世紀にはこの場所に宿屋がありましたが、1771年から1778年にかけて大法官アプスリー卿のためにロバート・アダムによって建てられました。アダムによる内装の一部は今も残っており、半円形のらせん階段やポルチコ・ルームなどがその例です。

その後、この邸宅は1807年にウェルズリー侯爵に買い取られ、1817年にはウェリントン公爵の手に渡りました。公爵は建築家ベンジャミン・ディーン・ワイアットを雇い、二段階にわたる改修を行いました。最初の改修で北東部に増築を行い、ステート・ダイニング・ルームなどを新設、二度目の改修では、東部に新しい階段と「ワーテルロー・ギャラリー」が加えられました。外装はバス・ストーンで覆われ、ポルチコが設置されました。この改修には当初の見積もりを大幅に超える費用がかかりましたが、ワイアットのフランス様式を取り入れた内装は、特にワーテルロー・ギャラリーと階段の手すりに見ることができます。

ワーテルロー・ギャラリーは、ウェリントン公爵がワーテルローの戦いでナポレオンに勝利したことを記念して名付けられました。現在でも、毎年6月18日には特別な宴席が設けられています。邸宅の前には、戦利品である大砲を鋳造して作られた公爵の騎馬像があり、見守られています。

1947年には、第7代ウェリントン公爵が邸宅と所蔵品を国に寄贈しましたが、公爵家の居住スペースは現在も邸宅の北側に残されています。

近年の出来事

2017年からは、プロイセン王から贈られた金メッキ磁器のテーブルウェア400点が一般公開されています。これは、ワーテルローの戦いでの勝利を記念して贈られたものです。

美術所蔵品

アプスリー・ハウスには、200点に及ぶ絵画が所蔵されています。その中には、ウェリントン公爵がビトリアの戦いの後に入手した83点の絵画が含まれています。これらの絵画は、スペイン王室のコレクションでしたが、フェルナンド7世が公爵に下賜しました。近年では、公爵家のプライベートエリアに保管されていたティツィアーノの絵画も一般公開されています。

また、アントニオ・カノーヴァ作のナポレオンのヌード像も有名です。これはナポレオン自身が依頼して制作されたもので、現在はアダムの吹き抜けに設置されています。ウェリントン公爵は、ヨーロッパ各国の統治者から数多くの贈答品を受けており、それらも展示されています。

展示品の一部:

シベリア産斑岩・孔雀石製燭台とサイドテーブル - ロシア皇帝ニコライ1世
スウェーデン産斑岩製ツボ - スウェーデン王カール14世ヨハン
金メッキ磁器のテーブルウェア400点 - プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世
セーヴル磁器によるエジプト復興装飾芸術のテーブルウェア - フランス王ルイ18世
銀及び銀メッキのポルトガル製テーブルウェア1,000点以上 - ポルトガル・リージェンシー・カウンシル
マイセンの磁器 - ザクセン王フリードリヒ・アウグスト1世
* ウェリントン公爵のバトン - 8か国の軍隊から贈られた元帥杖

アプスリー・ハウスは、ウェリントン公爵の生涯と功績を今に伝える、歴史的にも美術的にも非常に価値のある場所です。訪れる人々は、その豪華なコレクションと歴史的な雰囲気を堪能することができます。

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