孔雀石

孔雀石（マラカイト）

孔雀石、英語でマラカイト（malachite）は、鮮やかな緑色を持つ単斜晶系の鉱物で、主に銅の二次鉱物として広く知られています。特にその色合いから、多くの文化で重要な装飾材料や顔料として取り扱われてきました。

性質と化学組成

孔雀石の化学組成は、炭酸水酸化銅（Cu2CO3(OH)2）です。この化合物は、銅製品に生じる緑青とも同じ成分を持っています。孔雀石は、その形態もさまざまで、皮膜状や微結晶の集合体、さらには塊状や層状のものまで存在します。他の銅鉱石であるブロシャン銅鉱や擬孔雀石と見た目は似ていますが、酸に溶けた際に発泡が見られるかどうかで判別可能です。

産出地と歴史

孔雀石は、銅を供給する最も一般的な二次鉱物として知られています。これは、自然界に存在する銅鉱石が風化して二[[酸化炭素]]や地下水の影響を受け、銅化合物として集積した結果生じたものです。主な産地としては、ロシアのウラル山脈や南アフリカが挙げられます。ウラル地方では、建材として利用できるほどの大きな孔雀石も採掘されており、日本国内においても秋田県の荒川鉱山など、限られた地点で見られます。

名の由来と用途

孔雀石の名称は、微結晶の層状構造が孔雀の羽の模様に似ていることから来ています。また、英語の「マラカイト」は、ギリシアの言葉「μαλάχη」から派生しています。史実によると、孔雀石は紀元前2000年ごろのエジプトにおいて宝石として用いられ、当時のエジプト人は他の宝石と組み合わせて装飾品を製作していました。今でも、研磨されて美しい外観が保たれているものは貴石として扱われ、アクセサリー製作にも使われています。しかし、モース硬度が3.5-4と比較的柔らかいため、一般的な宝石とは異なります。

また、孔雀石は歴史的に銅鉱石としても利用されたことがありますが、現代では高品位の銅鉱石に競争され、用途自体は減少しています。しかし、実験材料として銅を取り出す場面では使われることがあります。

さらに、孔雀石の粉末は顔料として古くから使用されており、特に「岩緑青」や「青丹」として知られています。この顔料は、クレオパトラがアイシャドーに利用したことでも有名です。加えて、銅の炎色反応を活かして花火の発色剤としても重宝されています。さらには、硯で擦って作る墨は、雅楽の楽器である笙に用いられる「青石」としても利用されることがあります。

孔雀石は、その美しい色合いとさまざまな用途から、古代から現代に至るまで人々の生活に深く根付いている鉱物です。

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