アポロSA-1

サターンロケット初号機 SA-1

SA-1は、1961年10月27日にアメリカのアポロ計画で使用されたサターンロケットの初号機として打ち上げられました。これはサターンI型ロケットの最初の発射であり、アメリカの宇宙開発における重要な一歩となりました。サターンIは当時、アメリカが打ち上げたどのロケットよりも巨大であり、その規模は以前のロケットを大きく上回るものでした。例えば、アメリカ初の人工衛星エクスプローラー1号を打ち上げたジュピターCロケットと比較すると、全長は約3倍、搭載燃料は約6倍、推力は約10倍という圧倒的な性能が求められました。

ただし、この時点ではまだすべてのシステムテストが完了していなかったため、SA-1は一段目のみが発射されました。他のロケット部分のテストは別途行われることになりました。初飛行では、ジュピターロケットの先端部分のカバーがダミーとして取り付けられ、地球周回軌道には到達しませんでした。

開発と準備段階

SA-1の発射はサターンロケットシリーズにとって初めての試みであり、各システムの開発はまだ初期段階にありました。ロケットがケープカナベラルに輸送船で搬送されたのもこれが初めての経験で、将来のより大型なサターンロケット開発のための様々なテストが必要とされました。当時、サターンV型ロケットはまだ計画段階でした。

第一段ロケットとダミーの上段部分は、輸送船コンプロマイズ号によって1961年8月15日に到着しましたが、輸送中に海図の不備により4回も座礁するというトラブルに見舞われました。さまざまな問題を抱えながらも、ロケットは予定より5日遅れて34番発射台に設置されました。

当時のロケットテストは完全にアナログ方式で行われており、管制官はロケットに接続されたケーブルを通して管制センターから手動でモニターしていました。この時代のアナログ技術が、いかに複雑で手間のかかるものであったかがうかがえます。

発射と飛行

1961年10月26日の午後12時30分（現地時間）に、ロケットに燃料のケロシンを注入するテストが始まりました。テストは順調に進み、発射前に注入された燃料はすべて排出されました。翌日の午前3時には液体酸素の注入テストが行われました。タンク容量の10％まで注入して漏れがないか確認し、その後97％まで急速に注入、最後に満タンにしました。

悪天候にもかかわらず、ロケットは予定より1時間遅れで発射されました。飛行自体は完璧で、SA-1は高度136.5kmに到達し、発射地点から345.7km離れた大西洋上に落下しました。唯一の問題点は、エンジンが予定よりも1.6秒早く燃焼を停止したことでした。

まとめ

SA-1は、その後のサターンロケット開発にとって貴重なデータを提供しました。初号機としての多くの課題を克服し、アポロ計画の成功に不可欠なサターンロケットファミリーの基礎を築きました。この初期のテストがあったからこそ、人類は月へと到達できたと言えるでしょう。

外部リンク

Apollo Maniacs（アポロ・マニアックス）

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