エクスプローラー1号

アメリカ初の人工衛星、エクスプローラー1号

エクスプローラー1号は、アメリカ合衆国が初めて打ち上げた人工衛星です。1958年1月31日22時48分（東部標準時）に、フロリダ州のケープカナベラル空軍基地からジュノーIロケットによって打ち上げられました。

打ち上げの背景：スプートニク・ショック

1957年10月4日にソビエト連邦がスプートニク1号を打ち上げたことは、アメリカに大きな衝撃を与えました。この出来事は「スプートニク・ショック」と呼ばれ、アメリカは宇宙開発においてソ連に後れを取っていることを痛感しました。これに対抗するため、アメリカは早急に人工衛星を打ち上げる必要に迫られました。

当初、アメリカ海軍はヴァンガードロケットを用いて人工衛星の打ち上げを試みましたが、1957年12月6日のヴァンガードTV3の打ち上げは失敗に終わりました。一方、陸軍主導の計画では、ジェット推進研究所が衛星本体を製造し、アメリカ陸軍弾道ミサイル局がジュノーIロケット（ジュピターCロケット）を製造することになりました。これらの開発は、わずか84日間という短期間で進められました。

ジュノーIロケット

エクスプローラー1号の打ち上げに使用されたジュノーIロケットは、レッドストーン短距離弾道ミサイルを基に開発されたものです。ジュピターミサイルと混同されることがありますが、ジュピターミサイルを基に開発されたロケットは「ジュノーII」であり、ジュノーIとは別物です。

衛星の構造と計測機器

エクスプローラー1号の衛星本体は、ジェット推進研究所のウィリアム・ヘイワード・ピカリング博士の指揮の下で組み立てられました。計測機器は、ジェームズ・ヴァン・アレンの指揮の下で組み立てられました。この衛星には、国際地球観測の一環として、科学的目的に重点を置いた観測機器、特に宇宙線計測用のガイガーカウンターが搭載されました。

打ち上げ成功と科学的発見

エクスプローラー1号は、打ち上げ後、地球を周回する長楕円軌道に投入されました。ガイガーカウンターで計測された宇宙線の量は、衛星の高度によって大きく変動することが明らかになりました。この観測結果は、後のエクスプローラー3号による観測結果と合わせて、ヴァン・アレン帯の発見につながりました。ヴァン・アレン帯は、地球の磁場に捉えられた高エネルギー粒子の帯です。

衛星の寿命とその後

エクスプローラー1号の電力は、1958年5月23日までに消耗しました。その後も軌道を周回し続けましたが、1970年3月31日に太平洋上に再突入し、その役目を終えました。

エクスプローラー1号の予備機は、ワシントンD.C.にある国立航空宇宙博物館で展示されています。これは、アメリカの宇宙開発の歴史における重要な遺産として、一般公開されています。

関連事項

エクスプローラー1号の打ち上げには、レッドストーン兵器廠が深く関わっており、オルガー・N・トフトイなどの技術者が重要な役割を果たしました。

エクスプローラー1号は、アメリカの宇宙開発競争における最初の成功例であり、その後の宇宙探査の道を切り開いた重要な存在です。この衛星の成功は、アメリカの科学技術力を世界に示すとともに、宇宙に対する人類の理解を深める上で、かけがえのない貢献をしました。

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