アムリタ・シン

アムリタ・シン（Amrita Singh）は、1958年2月9日に生まれたインドの著名な女優です。主にヒンディー語映画の分野で活動し、長年にわたりその才能を発揮してきました。

生い立ちと家族背景

アムリタ・シンは、軍将校だった父シヴィンダル・シン・ヴィルクと、政治活動家として知られる母ルクサナ・スルターナーの間に生まれました。特に母ルクサナは、インディラ・ガーンディーの息子であるサンジャイ・ガーンディーの側近を務め、彼の提唱した不妊手術キャンペーンを主導した人物としても知られています。

彼女の家系には、インドの歴史や文化に名を残す人物が多数います。父方の曾祖父ショーバ・シンは、ニューデリーの都市計画に貢献した著名な建築家であり、ニューデリー市議会の初代インド人議長を務めました。大叔父には、高名な小説家クシュワント・シン、そしてマドラス州やパンジャーブ州などで知事を歴任した政治家ウッジャル・シンがいます。さらに、大伯母ベーグム・パーラーは女優として活動し、名優ディリープ・クマールの弟ナシール・カーンと結婚。その息子であるアユーブ・カーンもまた俳優の道を選んでいます。このように、アムリタ・シンは政治、文学、芸術といった多岐にわたる分野で影響力を持った家庭環境で育ちました。

幼少期には、後にボリウッドのトップスターとなるシャー・ルク・カーンと幼馴染みであり、彼の姉と共にニューデリーのモダン・スクールで学びました。この学校で教育を受けた彼女は、英語、パンジャーブ語、ヒンディー語の三カ国語を流暢に話すことができます。

キャリアの軌跡

1980年代から1990年代前半：黄金期と引退

アムリタ・シンの女優としてのキャリアは、1983年の映画『Betaab』で華々しく幕を開けました。このデビュー作が興行的に大成功を収めたことで、彼女は一躍注目を浴びることになります。その後も、『Sunny』、『Saaheb』、『Chameli Ki Shaadi』、『Naam』、『Khudgarz』、『Waaris』といった多くのヒット作に出演し、1980年代を代表する人気女優としての地位を確立しました。この時期には、サニー・デーオール、サンジャイ・ダット、アニル・カプール、アミターブ・バッチャンなど、当時の主要な男性俳優たちと数多く共演しています。

主演だけでなく、助演としても高い評価を受けました。『ラジュー出世する』や『Suryavanshi』などの作品で重要な役を演じ、特に1993年の『Aaina』では、その演技が高く評価され、フィルムフェア賞助演女優賞を受賞しました。キャリアの絶頂期とも言えるこの時期、彼女は「力強いヒロイン像を打ち立てた」と評され、1983年から1993年までの10年間、映画界のトップランナーの一人として認識されていました。しかし、同年公開された映画『Rang』への出演を最後に、アムリタ・シンは一度女優業から引退することを発表しました。

2000年代以降：復帰と新たな活躍

約9年間のブランクを経て、アムリタ・シンは2002年の映画『23rd March 1931: Shaheed』で女優業に復帰しました。この作品では、ボビー・デーオール演じるバガト・シンの母親役を演じ、再び演技の世界に戻ってきました。

復帰後は、テレビドラマや映画で個性的な役柄を演じ、新たな魅力を開花させます。2005年には、エクター・カプール制作のテレビドラマ『Kkavyanjali』に悪役として出演し、視聴者からの大きな反響を呼びました。同年公開の映画『Kalyug』でも悪役を演じ、フィルムフェア賞悪役賞にノミネートされるなど、悪女としての演技が高く評価されました。2007年には、実録犯罪映画『ラカンドワーラーの抗争』でギャングの母親役を、アンソロジー映画『Dus Kahaniyaan』でも印象的な役を演じています。

その後も、コンスタントに作品に出演を続け、ジャッキー・シュロフと20年ぶりに共演した『Aurangzeb』（2012年）、興行的に成功し自身もフィルムフェア賞助演女優賞にノミネートされた『2 States』（2014年）ではアルジュン・カプールの母親役を好演しました。『フライング・ジャット』（2016年）でも母親役、『ヒンディー・ミディアム』（2017年）では校長役を演じるなど、主に母親役や権威ある役柄で存在感を示しています。2019年には、ヒット作『Badla』でアミターブ・バッチャンと18年ぶりに共演し、再びフィルムフェア賞助演女優賞にノミネートされるなど、ベテラン女優として現在も精力的に活動しています。

私生活

アムリタ・シンは、1991年1月に母方の従弟にあたる俳優のサイーフ・アリー・カーンと結婚しました。結婚に際し、シク教徒だった彼女はイスラム教に改宗し、イスラム式の結婚式を挙げました。サイーフはアムリタより12歳年下で、クリケットの名選手でパタウディ藩王家末裔のマンスール・アリー・カーン・パタウディと、著名な女優シャルミラ・タゴールの間に生まれた息子です。結婚を機に女優業を引退したアムリタでしたが、世間からの否定的な意見や年齢差があったにもかかわらず関係を維持したものの、2004年に離婚しました。

二人の間には二人の子供がいます。1993年8月12日に長女サーラー・アリー・カーンを、2001年3月5日に長男イブラーヒーム・アリー・カーンを出産しています。娘のサーラー・アリー・カーンは現在、人気女優としてボリウッドで活躍しています。

受賞歴

（※詳細はインプット情報に明記されていませんが、フィルムフェア賞を含む複数の賞を受賞しています。）

外部リンク

* Amrita Singh - IMDb

（本記事は提供された情報に基づき記述されています。）

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