アメリカスミレサイシン

アメリカスミレサイシン (Viola sororia)

アメリカスミレサイシンは、北アメリカ東部を原産とする多年生の草本植物です。学名は Viola sororia、英名は common blue violet で、その他にも common meadow violet、purple violet、the lesbian flower、woolly blue violet、hooded violet、wood violet など、地域や文化によって様々な名前で呼ばれています。

日本への帰化

日本には明治時代以降に園芸植物として導入され、北海道から四国にかけて帰化しました。現在では、人家の近くの道端や空き地などで見かけることができます。

生態

アメリカスミレサイシンは、ヒョウモンチョウ族の幼虫の食草となるほか、シチメンチョウ、ウサギ、シカ、家畜、ナゲキバト、コリンウズラ、シロアシネズミなど、多くの動物の食料源となっています。種子は自然に散布され、芝生や庭では雑草として扱われることもあります。晩夏から初秋には、閉鎖花受粉した種子が短い茎の上に密集して形成されます。

州のシンボル

アメリカスミレサイシンは、イリノイ州、ロードアイランド州、ニュージャージー州、ウィスコンシン州の各州で、州を象徴する花として指定されています。

lesbian flower としての側面

1900年代初頭には、レズビアンの女性たちが求愛の際にアメリカスミレサイシンを贈る習慣がありました。そのため、「lesbian flower」という別名も持ちます。この習慣の背景には、古代ギリシャの女性詩人サッポーが、詩の中で恋人と共にスミレの花輪をかぶる様子を描写したことが、同性愛のシンボルとして解釈されたという説があります。この習慣は、1910年代から1930年代にかけて広まりました。

利用

アメリカスミレサイシンは、観賞用としてだけでなく、歴史的には食用や薬用としても利用されてきました。

食用: 花と葉は食用可能であり、根も食べられるという情報もあります。
薬用: チェロキー族は、風邪や頭痛の治療にアメリカスミレサイシンを服用していました。19世紀の植物学者ラフィネスクは、アメリカスミレサイシンが咳、咽頭痛、便秘の治療に用いられていたことを記録しています。

関連項目

* スミレサイシン

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