アメリカ合衆国の中等教育

アメリカ合衆国における中等教育は、一般的にK-12（幼稚園から12年生まで）の一環として捉えられています。19世紀初頭の8年制初等教育から発展し、1960年代にはK-12制へと移行しました。当初は、初等教育6年間、中等教育6年間（前期3年、後期3年）の6・3制が主流でした。

当初、中等教育の6年間は「ハイスクール」と呼ばれ、前期3年をジュニア・ハイスクール、後期3年をシニア・ハイスクールと区別していました。しかし、1980年代以降、シニア・ハイスクールを4年制にする学区が増加し、それに伴い、ジュニア・ハイスクールを2年制にしたり、ジュニア・ハイスクールを廃止して、ミドルスクールやインターミディエイト・スクールといった新たなコンセプトの学校を設置する学区が現れ始めました。

ミドルスクールの登場

ミドルスクールは、「ハイスクールの前期（ジュニア）後期（シニア）ではなく、ハイスクールとエレメンタリー（初等教育）の中間・橋渡しである」という独自のコンセプトを持っています。これは単に在籍年数の違いだけでなく、教育的な役割の違いを示しています。つまり、2年制であっても「ジュニア・ハイスクールはハイスクールの前期」という位置づけであるのに対し、ミドルスクールは仮に3年制であっても「ハイスクールの一部ではなく、初等と中等の橋渡しをする生徒」というコンセプトなのです（法的・制度的には中等教育）。

学区による多様性

アメリカでは、連邦教育省や州教育庁が地元教委に対して強制力を持つのは、最低限のカリキュラムなど一部に限られています。そのため、全国13,588（2011年）の独立教委（学区）が、それぞれ独立採算・独自人事採用・独立運営を行っています。したがって、K-12の学年割りも、6・3・3、4・2・2・4、5・3・4、4・4・4など、各教委によって大きく異なります（ただし、主流は5・3・4）。中には、同じ教委内で、ある地区は4・2・2・4、別の地区は5・3・4というように、学年構成が異なる場合や、マグネットスクールやオルタナティブスクールからの転校・進学がある場合もあります。また、同じ教委内で、あるミドルスクールは2年制、別のミドルスクールは4年制ということもあります。

各スクールの詳細

ミドルスクール (第五、第六ないし第七学年から第八学年)
ミドルスクール、ジュニア・ハイスクール、イミディエイトスクールは、いずれも、第六ないし第七学年から始まり第八学年で終わる学校の互換性のある名称です。まれに、第九学年を有することもあります。ジュニア・ハイスクールという呼称と第七学年から始まる学校は一般的でなくなりつつあります。

初等教育では、全ての学級が一人の同じ教員から担任されるのに対して、中等教育では、生徒たちは初めて、一日に複数の教員から授業を受け、受講計画を登録します。授業科目は、通常、主要科目である自然科学、数学、英語、社会科学と、副教科である文章読解や技術などからなります。幼稚園から第九学年までは必修科目として体育があります。加えて一つか二つの選択科目を受講します。
ハイスクール (第九学年から第十二学年まで)
ハイスクールは通常第九学年から第十二学年までですが、この原則に沿わない学区もあります。もっともよく見られるのは第九学年がミドルスクールに含まれる形式ですが、これは比較的古い形態であり消滅しつつあります。ハイスクールでは、生徒は自身の教育により大きな自由を有しており、基幹科目を選択することも可能です。

カリキュラム構成

米国の教育制度では、他の先進国と異なり、高等教育機関の第2学年まで基本的な教育内容が分岐しません。ハイスクール段階では生徒は様々な科目を特別な専攻を除いて幅広く履修します。カリキュラムの難度や質は、各州だけでなく州内の学区によってそれぞれ異なります。例えば単位取得が可能な合格点が100点満点で70点の学区もあれば75点の学区もあります。

以下に示すパターンは、ハイスクール修了資格を取得するのに最低限必要な履修例の一つです。

自然科学 (生物学、化学、物理学)
数学 (通例最低3年。代数学、幾何学、代数学II 微積分や三角関数を含む)
英語 (4年)
社会科学 (各国史、社会学、政治学　及び経済学。アメリカ史は必修)
体育 (最低1年)

このほかにもボランティア活動、外国語や情報リテラシーの履修を義務づけたり、州の標準テストの合格ラインを満たすなど卒業に必要な条件は様々です。多くの州は解剖学、栄養学、救急処置、性と産児制限の基礎概念、DARE.プログラムと呼ばれる薬物乱用予防教育、煙草やアルコールをなぜ回避しなければならないか学ぶ"保健"コースの受講も生徒に要求しています。州が学力低下に危機感を持ったり、地元の州立大学に卒業生の学習内容について不満を表明されたときなどには卒業のハードルを高くすることがあります。

選択科目

ハイスクールは様々な自由選択科目を提供していますが、学区の財政状況いかんで科目が削除されたり利用できる設備が制限されることもあります。

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