アメリカ哲学協会

アメリカ哲学協会 (APS)

アメリカ哲学協会（American Philosophical Society、APS）は、アメリカ合衆国における自然科学と人文科学の学術団体で、1743年にフィラデルフィアで設立されました。アメリカで初めての学術団体として、長い間その文化的および知的活動に貢献してきました。APSは研究助成金の提供、学術雑誌の発行、博物館や図書館の運営、定期的な会合の開催などを通じて、科学と人文科学のさまざまな分野の発展を支援しています。

歴史

1743年、ベンジャミン・フランクリン、ジェームズ・アレクサンダー、フランシス・ホプキンソンなどの知識人によって、相互研鑽を目指す「ジュント」から派生した形で設立されました。設立当初から、ジョン・ディキンソン、ジョージ・ワシントン、トマス・ジェファーソンなど、多くの著名なメンバーが在籍していました。国外からも多くの会員を受け入れ、さまざまな国の知識人との交流を持っていました。

1746年に一時的に活動が停止しましたが、1767年に復活し、アメリカ有用知識促進協会と統合して「アメリカ哲学協会」として新たにスタートしました。フランクリンが初代会長として選ばれ、この時期に常設の委員会が設立されるなど、活動が活発になりました。

アメリカ独立以降、フランシス・ホプキンソンの指導のもと、フィラデルフィアに哲学会館が建設されました。これまでに、チャールズ・ダーウィン、ロバート・フロスト、ルイ・パスツールなど、多くの著名な人物が会員として名を連ねています。2005年には約920名が会員として在籍しており、この内訳には772名の国内会員と148名の外国人会員が含まれていました。

賞

APSは1786年に、航海術や天文学、自然哲学の業績を称える「マゼラン・プレミアム」賞を設立しました。この賞は、アメリカの機関が授与する科学賞として最も古いものです。また、文化史部門のバルズン賞や神経生物学部門のカール・スペンサー・ラシュレー賞、芸術や人文科学分野での卓越した成果を表彰するトーマス・ジェファーソン・メダルなど、様々な賞を授与しています。

出版物とアーカイブ

アメリカ哲学協会は、1771年から「Transactions of the American Philosophical Society」を毎年5号発行しています。1938年からは「Proceedings of the American Philosophical Society」を発行し、年に2回行われる学会での発表内容を掲載しています。また、フランクリンやジョセフ・ヘンリーに関する論文集も出版しており、特にジョン・ディキンソンについてのアーカイブも充実しています。

建造物

フィラデルフィアの哲学会館は、協会の本部として1785年から1789年にかけて建設され、現在は博物館として一般公開されています。内部には、APSが所蔵する美術品や科学機器、希少本などが展示されており、歴史や科学のつながりを探る展示が行われています。また、ベンジャミン・フランクリン・ホールやリチャードソン・ホールも各種イベントの会場として利用されています。

APSは、研究や文化活動を促進し、学術的な交流を深める場として、アメリカの学問の発展に寄与し続けています。

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