アメリカ大気研究センター

アメリカ大気研究センター（NCAR）について

アメリカ大気研究センター（National Center for Atmospheric Research、NCAR）は、アメリカ合衆国を代表する大気科学の研究所です。コロラド州ボルダーに本部を置き、非営利組織である大気研究大学連合（UCAR）が運営しています。その活動はアメリカ国立科学財団（NSF）から資金提供を受けており、地球の大気に関する幅広い研究を推進しています。

NCARの活動内容

NCARは、地球の大気を研究するための様々なツール、テクノロジー、施設を学術界に提供しています。主な活動内容は以下の通りです。

専門機器群: 大気過程を測定するための専門的な機器を提供。
調査用航空機: 大気観測に使用する航空機を運用。
高性能計算設備: スーパーコンピュータなどの高性能計算設備を提供。
観測所: マウナロア太陽観測所などの観測施設を運営。
共同キャンペーン: 大気に関する共同観測キャンペーンを実施。
大気モデル: 気象、化学、太陽、気候過程などをモデル化。
コミュニティ気候システムモデル (CCSM)
Weather Research and Forecasting model (WRF)
全大気領域気候モデル (WACCM)
技術移転: 社会的ニーズに応じた技術移転を推進。
データサービス: 研究に必要なデータセットやデータサービスを提供。

NCARはこれらの活動を通して、大気科学の発展に貢献しています。センターには、科学者、技術者、サポート要員など様々な専門家が所属しており、研究活動を支えています。

主な研究分野

NCARの研究分野は多岐にわたりますが、主なものは以下の通りです。

気候学: 地球の過去、現在、未来の気候を研究。温室効果、地球温暖化、気候変動、エルニーニョ、ラニーニャ、旱魃、森林火災など。
気象学: 短期予報、気象予測、気候への影響、ハリケーンや竜巻などの激しい嵐、物理的過程など。
環境と社会への影響: 気候変動が自然環境や社会に与える影響、気象と社会の相互作用、航空・陸上交通への気象リスク、国家安全保障など。
大気汚染と大気化学: 局所的、地域的、地球規模の大気汚染、大気化学と気象、大気中の化学進化と物質輸送など。
太陽と宇宙天気予報: 太陽の構造、太陽が地球の気象や気候に与える影響、宇宙天気予報など。
地球システムのその他の側面: 海洋、海氷、氷河、水循環、森林、農業、都市化など、地球のシステムが気象や気候に与える影響。

これらの研究分野を通して、地球システム全体を理解し、環境問題への対策を模索しています。

NCARの組織

NCARは、5つの研究所と2つのプログラムで構成されています。

研究所

計算・情報システム研究所 (CISL)
地球観測研究所 (EOL)
高高度観測所 (HAO)
NCAR地球システム研究所 (NESL)
研究応用研究所 (RAL)

プログラム

高度研究プログラム (ASP)
統合科学プログラム (ISP)

これらの組織が協力し、大気科学の進歩に貢献しています。

その他の情報

CISL: NCARのITサービスを管理しており、スーパーコンピュータやデータストレージシステムを運用。
IPCC: NCARの科学者はIPCCに参加し、気候変動に関する評価に貢献しています。2007年にはアル・ゴア氏とIPCCがノーベル平和賞を受賞。
メサ研究所: NCARの本部は、建築家イオ・ミン・ペイが設計した印象的な建物です。
見学: メサ研究所では、過去に使用されていたスーパーコンピュータや、体験型展示を見学できます。
資金と運営: NCARは非営利組織UCARによって運営され、NSFからの資金提供を受けています。

NCARは、大気科学の進歩に不可欠な研究機関であり、地球環境問題の解決に貢献しています。

関連項目

気候モデル
地球シミュレータ

外部リンク

NCAR Web site (英語)
Visit NCAR
High-end Computing at NCAR
NCAR & Mallory Cave downloads NCAR周辺のハイキング情報
NCAR Archives

もう一度検索