アモス・マンスドルフ

アモス・マンスドルフは、1965年10月20日にイスラエルのテルアビブで生まれました。1980年代後半から1990年代前半にかけてプロテニス選手として活動し、その間、イスラエル男子テニス界における数々の記録を樹立しました。

マンスドルフは、ATPツアーで通算6勝を挙げ、シングルスランキングでは自己最高の18位を記録しました。これは、イスラエル人男子テニス選手としては最高のランキングです。また、男子ツアー大会のシングルスでは16度の決勝戦に進出（優勝6回、準優勝10回）し、4大大会でも全仏オープンを除く3大会で4回戦に進出するなど、国際舞台でも活躍しました。彼の活躍は、今でも「イスラエル最大の男子テニス選手」として高く評価されています。

しかし、マンスドルフがテニスを始めた頃、イスラエルにはテニスコートが少なく、練習環境は決して恵まれたものではありませんでした。1976年にテルアビブに「イスラエル・テニスセンター」が設立されましたが、それまでは練習できる場所も限られていました。さらに、18歳になるとイスラエル国防軍への兵役義務があり、マンスドルフも1983年10月に入隊しました。

マンスドルフ自身も、15歳から21歳までの最も重要な時期に十分な練習ができなかったと語っており、「アメリカでコーチを受けられていれば、もっと良い選手になれただろう」と述懐しています。兵役期間中は、望むような練習はできなかったものの、限られた時間の中で下部大会を転戦することができました。1984年からは男子テニス国別対抗戦・デビスカップのイスラエル代表選手に選ばれ、1985年には全米オープンで4大大会に初出場を果たしました。

1985年10月、故郷テルアビブでの大会で初の男子ツアー決勝に進出しましたが、ブラッド・ギルバート（アメリカ）に敗れ準優勝となりました。ギルバートとは、その後も多くの試合で対戦することになります。

1986年、マンスドルフはウィンブルドンと全米オープンで3回戦に進出し、11月の南アフリカ・ヨハネスブルグ大会でツアー初優勝を飾りました。1987年11月には世界ランキングで自己最高の18位をマークしました。

1988年には男子ツアーで2勝を挙げ、ソウル五輪にもイスラエル代表として出場しました。オリンピックでは3回戦まで進み、ティム・メイヨット（アメリカ）に敗れました。

1989年のウィンブルドンでは、イスラエル人男子選手として初の4回戦進出を果たしましたが、ステファン・エドベリに敗れました。1990年の全米オープンでも4回戦に進出しましたが、アーロン・クリックステイン（アメリカ）に敗れました。1992年の全豪オープンでは、イスラエル人男子選手としては2人目となるベスト8に進出しましたが、ジム・クーリエに敗れ、ベスト4進出はなりませんでした。4大大会のうち、全仏オープンだけは4回戦に進出することができず、1990年の3回戦が最高成績でした。

1993年7月、マンスドルフはアメリカ・ワシントンD.C.大会でトッド・マーティンを破り、最後の優勝を飾りました。しかし、慢性疲労症候群により十分な練習ができなくなり、1994年に29歳でプロテニス選手を引退しました。引退試合は11月のベルギー・オープン2回戦でセバスチャン・ラルー（カナダ）に敗れた試合でした。

引退後は、イスラエル・テニス協会で後進の指導にあたり、イスラエル・テニスセンターの理事長も務めました。また、2001年から2004年まではデビスカップのイスラエル代表チームのキャプテンを務めました。

アモス・マンスドルフは、イスラエルテニス界のパイオニアとして、その名を歴史に刻んでいます。

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