アラカン軍 (カレン州)

アラカン軍 (カレン州)とは

「アラカン軍 (カレン州)」は、ミャンマー連邦共和国の東部に位置するカレン州を主な活動拠点とする、ラカイン族によって構成される小規模な反政府武装組織です。ラカイン語では「ရခိုင်ပြည်တပ်မတော်」と呼ばれます。しばしば混同されやすいですが、主にカチン州に本部を置き、ラカイン州やカレン州を含む広範な地域で活動している同名の武装勢力「アラカン軍」（AA）とは、明確に区別される別の団体です。

歴史的背景

本組織の起源は、2000年代初頭に遡ります。具体的には、2004年または2010年のいずれかの年に、全アラカン学生青年会議（All Arakan Students and Youth Congress、略称：AASYC）を母体として結成されました。設立当初に掲げられた目的は、ラカイン族の人々の保護、平和と正義、そして自由の確立、さらにはラカイン族が居住する地域の開発促進といった広範なものでした。

ミャンマー政府との関係においては、過去にビルマ統一民族連邦評議会（United Nationalities Federal Council、UNFC）の一員として、政府側との交渉の席についていた時期があります。しかしながら、全国規模の停戦協定（NCA）への署名は、他の多くの主要な民族武装組織が署名したにもかかわらず、本組織においては実現しませんでした。

近年の特筆すべき出来事としては、主にラカイン州北部で発生した、先述の別団体であるアラカン軍（AA）とミャンマー国軍との間で繰り広げられた激しい戦闘に関連する動きがあります。この戦闘の際、政府当局によって当該地域でのインターネット接続が遮断される事態が発生しましたが、アラカン軍（カレン州）はこの措置を強く非難する声明を発表し、ラカイン族が置かれている状況への関心を示しました。

近年の動向

2021年2月にミャンマー国軍が引き起こしたクーデター以降、本組織は軍事政権に対する抵抗運動において重要な役割を果たすようになりました。特に、カレン民族解放軍（Karen National Liberation Army、KNLA）の第5旅団と緊密な軍事同盟関係を結び、カレン州をはじめとする地域で国軍部隊に対する戦闘に積極的に関与しています。この同盟は、反軍事政権勢力間の連携強化を象徴するものの一つと言えます。

さらに、本組織は、民主派勢力である国民統一政府（National Unity Government、NUG）を含む、軍事政権に抵抗する他の勢力との協調姿勢も明確に打ち出しています。これは、ミャンマーにおける広範な民主化と連邦制の確立を目指す運動の一部として、様々な民族武装組織や市民抵抗組織が協力し合う現在の状況を反映しています。

目的

アラカン軍（カレン州）が現在掲げている主要な目標は、主に以下の三点に集約されます。

ラカイン州に居住する多様な民族グループを含む全ての住民が、自らの運命を決定する権利、すなわち自決権を獲得すること。
ラカイン族独自の豊かな民族的アイデンティティと貴重な文化遺産を保護し、次世代に継承していくこと。
* ラカイン族全体の民族としての尊厳を高め、その利益を最大限に促進すること。

これらの目的達成のため、本組織は軍事的な活動に加え、政治的な交渉や反軍事政権勢力との連携を通じて、ラカイン族の権利向上とミャンマー全体の民主化に貢献することを目指しています。

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