アラドゥ

ナイジェリア海軍のフリゲート「アラドゥ」について

「アラドゥ（NNS Aradu, F89）」は、ナイジェリア海軍が保有するフリゲート艦であり、進水時には「リパブリック」（NNS Republic）という名称でしたが、1980年11月1日にハウサ語で「雷」を意味する現在の艦名に改称されました。この艦はMEKO型[[フリゲート]]シリーズの第1号艦で、設計側の呼称はMEKO 360H1型とされています。

来歴

ナイジェリア海軍は1956年に設立され、当初は200名の人員で始まりました。以降、1960年に555名、1970年には1,720名にまで増強されていきました。独立当初はイギリス海軍から艦艇を引き継ぎしましたが、1970年代になるとこれらの艦艇が老朽化していったため、新造艦の建造が始まりました。特にビアフラ戦争では、海運業者が海軍力に無関心だったため、ナイジェリアは効果的な海上封鎖を実施しました。その後、1977年には「アラドゥ」が発注され、この艦は当時、世界最大のフリゲート艦となりました。建造費は8450万ドルであり、1981年度の防衛予算の10パーセントに相当する大きな投資でした。

設計

アラドゥの設計は、西ドイツのブローム・ウント・フォス社のMEKO型[[フリゲート]]に基づいています。この設計では、モジュール化を基本理念とし、艦主構造に多様な兵器や設備を組み込むことで、メンテナンスコストを抑えることを目指しています。アラドゥは、3,600トン級の排水量を有し、搭載機として1機のヘリコプターを考慮に入れた設計となっています。MEKOの略称は「多用途フリゲート構想」を意味し、弾薬や電子機器などがモジュールとして交換可能です。基本設計には、中央船楼型の船体とV字型の煙突の特徴が見られます。

推進装置は、MTU 20V956 TB92ディーゼルエンジンとロールス・ロイスのオリンパスTM3Bガスタービンエンジンを使用し、合計の出力は4,120キロボルトアンペアです。

装備

本艦は、SEWACO戦術情報処理装置を中心に、対空・対水上捜索用のレーダー（AWS-5）や航法用レーダー（デッカ1226）、火器管制用レーダー（WM-25）などが搭載されています。艦砲として、艦首甲板には54口径127mmの速射砲を装備し、さらに70口径40mmの連装機銃が4基搭載されています。加えて、艦対艦ミサイルとしてオトマートMk.1の連装発射筒が設置されており、対潜兵器としては324mmの短魚雷発射管も備えています。

ヘリコプター搭載能力もあり、リンクスMk.89哨戒ヘリコプターが可能ですが、運用状況は厳しいとされています。これにより、艦は多様な任務に対応可能な能力を持っているといえます。

艦歴

アラドゥは1978年にハンブルク造船所で起工され、1980年1月に進水し、1982年に就役しました。しかし、ナイジェリアの政治と経済の混乱が海軍の運営に大きな影響を及ぼしており、装備の維持管理や訓練に問題が多く存在しました。就役後5年で座礁や衝突事故に遭い、運用困難に陥りました。特に1990年代にかけてはトラブルが続き、艦はしばしば修理を要する状態でした。

一方、2005年には国際観艦式で可動状態を確認され、その存在感を示しました。「アラドゥ」は長きにわたってナイジェリア海軍の主力として活動し続けています。

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