アラビアンナイト・シンドバッドの冒険 (映画)

アラビアンナイト・シンドバッドの冒険に関する詳細

『アラビアンナイト・シンドバッドの冒険』は、1962年に公開された日本の長編アニメーション映画で、東映動画による制作です。この作品は、東映が手掛けた長編アニメの第5作とされており、初めて中近東を舞台にした物語となっています。カラーで81分の上映時間を持ち、全国公開は同年の7月21日からでした。

映画の概要

本作のキャッチコピーには「痛快な冒険と素晴らしいロマンス! 動物や怪獣も大活躍! 夢と希望の東映が放つ動画千一夜物語!」とあります。この作品は、東映動画が40周年を迎えた際にリリースしたDVDが2002年11月21日でした。

あらすじ

物語は、若者シンドバッドと少年アリーの冒険から始まります。彼らは一緒に輸送船ボルダー号に密乗りし、海の冒険に憧れを抱いています。老船乗りから話を聞いた五色に輝く宝石の島に心を惹かれ、彼らはその島に向かうことを決意します。しかし、船に乗ってからすぐに密航が発覚します。しかし、老船長は二人の勇気に印象を受けて、見習い船乗りとして彼らを迎え入れます。

ボルダー号がバーレーンの港に到着すると、シンドバッドたちは国王アーマッドに召喚されます。王は宝物を求め、船員アブダラが歌うデタラメな歌によって、王の興味を引きます。だが、王の側近である卑劣なトルファは、シンドバッドたちを地下牢に閉じ込めてしまいます。王女サミール姫はこれに心を痛め、彼らを助けるため逃がします。姫はトルファからの求婚を逃れるため、シンドバッドたちの冒険に参加することを望むのでした。

姫を連れて出航したシンドバッドたちは、困難に立ち向かいながら夢の宝島を目指します。しかし、トルファは家来を引き連れ、宝物を狙って彼らを追いかけます。ついに辿り着いた島では、古代の龍の骨が散在し、洞窟には幻想的な宝石が山のように広がっています。だがそこにトルファたちが現れて、島の守護者である怪鳥パドランの怒りを買ってしまいます。パドランは恐ろしい魔力を持ち、島には大洪水が襲いかかります。トルファたちは流され、シンドバッドたちも危機に晒されますが、シンドバッドの祈りが届き、命を救われます。

スタッフ

本作の制作には多くの才能が集結しています。製作は大川博、脚本は手塚治虫と北杜夫が担当し、演出は藪下泰司と黒田昌郎がしました。アニメーションの画風を支えたのは、数多くの原画家と動画監修者たちで、彼らの技術がアニメーションの完成度を高めました。

音楽とキャスト

音楽には冨田勲の美しい旋律が使用され、数曲の挿入歌も含まれています。キャストには、シンドバッド役の木下秀雄をはじめ、黒柳徹子や里見京子といった豪華な声優陣が揃い、キャラクターに命を吹き込んでいます。

脚本と制作の背景

本作は、手塚治虫と北杜夫の初の共同制作となりました。制作初期には、手塚の提案に対して北が子クジラのキャラクターを提案するなど、意見の不一致もありました。手塚は、作品の方向性に不満を抱きつつも、後にこの作品のおかげで児童漫画の第一人者としての地位を得ることになります。また、映画は文部省や各種団体からの推薦を受け、評価されています。

本作は1968年にはリバイバル上映を果たし、今なお多くの観客を魅了する作品です。

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