アラン・マクダイアミッド

アラン・グラハム・マクダイアミッド

アラン・グラハム・マクダイアミッド（Alan Graham MacDiarmid, ONZ、1927年4月14日 - 2007年2月7日）は、ニュージーランド出身の著名な化学者です。彼は、2000年に導電性高分子の発見と発展への貢献が認められ、アラン・ヒーガー、白川英樹と共にノーベル化学賞を受賞しました。

生い立ちと教育

マクダイアミッドは、ウェリントン地方のマスタートンで生まれ、貧しい家庭で育ちました。幼少期には、家族でウェリントン近郊のロワー・ハットへ引っ越しました。彼は、幼い頃から化学に強い興味を持ち、図書館の本や父親の蔵書を読みながら独学で化学を学びました。ハットバレー高校を卒業後、ウェリントンのヴィクトリア大学ウェリントンへ入学。大学では、化学教室で雑用をしながら学費を稼ぎ、修士課程まで進みました。当時のニュージーランドには博士号を取得できる制度がなかったため、フルブライト奨学金を得てアメリカのウィスコンシン大学へ留学し、博士号を取得しました。その後、シェル奨学金を得てケンブリッジ大学へ移り、二つ目の博士号を取得しました。

研究キャリア

セント・アンドルーズ大学で1年間過ごした後、1955年にペンシルベニア大学で職を得て、2007年に亡くなるまで52年間勤務しました。1964年にはペンシルベニア大学の正教授に、1988年からは化学部のブランシャール特任教授に就任しました。また、2002年にはテキサス大学ダラス校の教授にもなりました。同校には、彼にちなんで名付けられたアラン・G・マクダイアミッドナノテクノロジー研究所があります。2003年には王立協会のフェローに選出されました。

導電性高分子の研究

マクダイアミッドは、学生時代に無機化学を専攻し、硫化窒素の合成に関する修士論文を執筆しました。この論文はネイチャーにも掲載されました。ウィスコンシン大学ではシアニド錯体、ケンブリッジ大学ではシリル化合物を研究しましたが、ペンシルベニア大学に着任してからは、修士論文のテーマであった硫化窒素を中心に研究を続けました。1970年代中盤からは、同じくペンシルベニア大学に在籍していた物理学者のアラン・ヒーガーと共に硫化窒素ポリマーの研究を始めました。

1975年に東京工業大学を訪問した際、白川英樹から金属光沢を示すポリアセチレンを見せられ、大きな関心を抱きました。翌年、白川をペンシルベニア大学に招聘し、ヒーガーと共にポリアセチレンの電気伝導性について研究を進めました。1977年には、ヨウ素蒸気によるドーピングが電気伝導性を飛躍的に向上させることを発見し、この業績が後のノーベル賞受賞につながりました。

白川が帰国し、ヒーガーがカリフォルニア大学へ移ってからは、より安定で加工しやすい導電性高分子であるポリアニリンを研究対象とし、化学合成から導電性の理論、そしてデバイス化まで幅広い研究を行いました。

晩年と死

晩年は骨髄異形成症候群に苦しみ、ニュージーランドへの帰国を考えていましたが、2007年2月、ペンシルベニア州ドレクセル・ヒルの自宅の階段から転落し、その怪我が原因で亡くなりました。彼は同地のアーリントン墓地に埋葬されています。

受賞と栄誉

マクダイアミッドは、数々の賞を受賞しており、その業績は広く認められています。

1982年 - センテナリー賞、アーサー・K・ドーリットル賞
1984年 - 化学パイオニア賞
1999年 - アメリカ化学会賞
2000年 - ノーベル化学賞
2001年 - ラザフォード・メダル（ニュージーランド）、ニュージーランド勲章
2002年 - ウィリアム・H・ニコルズ賞

参考文献

マクダイアミッド自らによる半生記（ノーベル財団ウェブサイト）
ニュージーランドのウェブサイトに掲載された訃報

外部リンク

* McDiarmid Institute Web Site

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