アラーウッディーン・アターマリク・ジュヴァイニー

アラーウッディーン・アターマリク・ジュヴァイニーの生涯と業績

アラーウッディーン・アターマリク・ジュヴァイニー（1226年 - 1283年）は、13世紀後期にモンゴル帝国やイルハン朝で活躍した政治家兼歴史家です。彼の名著『世界征服者の歴史』はその価値が高く、当時の歴史状況を知る上で重要な資料となっています。

ジュヴァイニーは、ホラーサーンのジュヴァイン出身で、彼の一族はアッバース朝の高官からセルジューク朝の役人、さらにホラズム・シャー朝の重要なポジションまで、多様な役割を歴史の中で果たしてきた名家として知られています。このような背景から、彼自身も高官としてモンゴル帝国に仕官しました。彼のキャリアは、モンゴルによるホラーサーンの支配が始まった後にスタートしました。

弟のシャムスッディーンと共に、ジュヴァイニーはモンゴルの総督アルグン・アカのもとで徴税の業務を担当しました。彼はカラコルムへと3度使節として派遣され、皇后オグルガイミシュや大ハン・モンケに謁見し、モンゴル帝国の重要な政策決定に関与する機会を得ました。さらに、彼はフレグ西方遠征軍の派遣に際し、その後任事務作業や各地の帰順活動において積極的に働いていきます。

特にアラムートの攻略においては、フレグのために勝利宣言の草稿を作成するなど、彼の知識と才能がさまざまな場面で発揮されました。彼は軍事活動に参加し、バグダードの陥落後にはその地域の太守にも任命され、地方の経済や社会の再建に尽力します。

彼の著作『世界征服者の歴史』は、彼自身の経験に基づく内容であり、歴史家としての評価を高める要因となりました。この書は、モンゴルの征服とその影響を詳細に描写しており、特にフレグの指揮による遠征に関する情報は貴重です。1260年に完成したこの書は、当時の出来事を記録し、歴史の解釈に貢献しました。

しかし、彼の政治生活は波乱に満ちていました。アバカの治世下で、彼は讒言による財政監査を受け、最終的には不正使用の罪で投獄されます。彼の財産は奪われ、多額の賠償が要求されるなど苦境が続きました。しかし、1282年にアバカが死去すると、彼の名誉は回復され、再び政界で活躍する機会を得ました。

残念ながら、彼の復帰は長くは続かず、アルグンによる政権奪取の動きが加速する中で彼は悲劇的な運命を迎えました。報告によると、彼は自身の領地がアルグンの軍に奪われたとの知らせを受けて衝撃を受け、急死したとされています。次の年、アルグンが権力を掌握すると、弟や兄弟たちも含め、ジュヴァイニー一族はことごとく処刑されたとされています。

このように、ジュヴァイニーの生涯は激動の時代に生き、政治と歴史の両面に多大な影響を与えた人物として記憶されています。彼の著作と活動は、モンゴル帝国の時代背景を知るための貴重な資料です。

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