アルコール先生公園の巻

アルコール先生公園の巻 (In the Park)

『アルコール先生公園の巻』は、1915年にエッサネイ社が製作し、チャールズ・チャップリンが監督・主演を務めた短編サイレント映画です。チャップリンの映画出演としては40作目にあたります。

作品の特徴

この作品は、キーストン調のストーリーパターンに基づいた「公園もの」の一つであり、全体的にドタバタコメディの要素が強く押し出されています。チャップリン演じる「チャーリー」は、多くの場面で周囲から嫌われるようなキャラクターとして描かれています。

あらすじ

物語は、公園をうろつくチャーリーが、子守をしているエドナに目を付けるところから始まります。しかし、エドナには恋人（バド・ジェイミソン）がおり、チャーリーはあっけなく拒否されます。

そこへ、熟年カップルを狙うスリが現れ、女性のハンドバッグを盗みます。一方、チャーリーはホットドッグを盗もうとしますが、それもスリに奪われてしまいます。仕返しに、チャーリーはステッキでハンドバッグを取り返し、エドナにプレゼントしようとしますが、巡回中の警官に止められてしまいます。

ハンドバッグの持ち主である女性は、盗難に気づき、恋人に激怒します。失意のどん底に陥った紳士は、池に身投げしようとしますが、チャーリーに止められます。そこへ、エドナの恋人と警官も駆けつけ、バッグの所有者確認を急ぎます。窮地に立たされたチャーリーは、2人とも池に蹴り落としてしまうのでした。

製作の背景

エッサネイ社は、ネガを使って編集を行うことを常としていましたが、自分のフィルムに他人の手が加わることを嫌ったチャップリンは、この点を不満に思っていました。そこで、エッサネイ社はチャップリンの要望に応じて編集用のプリンターを発注しましたが、到着が遅れたため、当時製作中だった『チャップリンの拳闘』の編集作業が中断してしまいます。

映画史家のデイヴィッド・ロビンソンは、この中断期間は3週間にも及んだとし、『アルコール先生公園の巻』は、その間の穴埋めとして製作されたのではないかと推測しています。また、ロビンソンは、チャーリーがエドナにキスをされて喜ぶシーンが、後の『サニーサイド』（1919年）や『モダン・タイムス』（1936年）に繋がる要素を含んでいると指摘しています。

キャスト

チャールズ・チャップリン - チャーリー
エドナ・パーヴァイアンス - 子守をする女エドナ
レオ・ホワイト - 優雅に振る舞う女たらし
マーギー・ライガー - 女たらしの好みの女性
バド・ジェイミソン - エドナの恋人
ロイド・ベーコン - ホットドッグ売り
ビリー・アームストロング - 泥棒
アーネスト・ヴァン・ペルト - 警官

参考文献

デイヴィッド・ロビンソン『チャップリン』 上、宮本高晴、高田恵子 訳、文藝春秋、1993年4月。ISBN 978-4-1634-7430-4。
大野裕之『チャップリン・未公開NGフィルムの全貌』日本放送出版協会、2007年3月。ISBN 978-4-1408-1183-2。

外部リンク

In the Park - IMDb（英語）
In the Park - YouTube - BGM有り

もう一度検索