アルス・ボラト

アルス・ボラト：動乱の時代のモンゴル王族

アルス・ボラト（1487年 - ?）は、モンゴルのハーン、ダヤン・ハーンの息子の一人です。アルス・ボラト・メルゲン・ホンタイジとも呼ばれ、7トゥメトを相続しました。明代の漢文史料では「我折黄台吉」と表記されます。

生涯

アルス・ボラトは、ダヤン・ハーンとその正妻マンドフイ・ハトンの間に生まれました。『アルタン・トプチ』では、ダヤン・ハーンの四男として、バルス・ボラトと双子で生まれたと記録されています。

ダヤン・ハーンの死後、後継者とされたボディ・アラク（ダヤン・ハーンの長子トロ・ボラトの息子）が幼かったため、バルス・ボラトがハーン位を簒奪したと多くの史料に記されています。しかし、一部の史料では、アルス・ボラトこそが簒奪者であったとされています。『恒河の流れ』、『アルタン・クルドゥン』、『ボロル・エリケ』などのモンゴル語史料では、バルス・ボラトが一時的にハーン位に就いたのはダヤン・ハーンの遺言に基づく合法的な行為であり、その死後、ハーン位を奪おうとしたアルス・ボラトに対し、他の諸侯が反発し、改めてボディ・アラクがハーンとなったとされています。ただし、これらの史料は後代に書かれたものが多いため、その信憑性には疑問が残ります。

アルス・ボラトは、ダヤン・ハーンから7トゥメトを分封されました。7トゥメトは、マルコルギス・ハーンを弑逆したドガラン・タイジが所属する部族として歴史に登場し、後にマンドゥールン・ハーンがドガラン・タイジを殺害して7トゥメトを征服しました。その後、7トゥメトはアルタン・ハーンの勢力下に入ったようですが、「7トゥメト」自体はアルス・ボラトの子孫が領有し続けました。

子孫

アルス・ボラトの子孫は以下の通りです。

ブジゲル・タイジ（不只克児台吉） - アルス・ボラトの長男
ダユン・ホンタイジ（歹稚黄台吉） - ブジゲル・タイジの長男
メルゲン・タイジ（麦力艮台吉） - ブジゲル・タイジの次男
ジョリクト・タイジ（着力兎歹成台吉） - ブジゲル・タイジの三男
クゥドゥン・フルチ・ノヤン（火落赤台吉） - ブジゲル・タイジの四男
オヌン・タイジ（五乎嚢台吉） - アルス・ボラトの次男
ボルグチン・タイジ（不禄慎台吉） - オヌン・タイジの長男
ケチェグゥ・センゲ・タイジ（克籌台吉） - オヌン・タイジの次男

まとめ

アルス・ボラトは、ダヤン・ハーンの息子として生まれ、7トゥメトを領有し、一時的にハーン位を巡る争いに加わった人物です。彼の生涯は、モンゴル帝国の衰退期における権力闘争の一端を示しており、その子孫は7トゥメトを支配し続けました。

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